個別エントリー別

« 国立大授業料自由化で値上げ | メイン | その他大学関係のニュース »

2004年10月12日

信大キャンパス神社違憲判決の確定によせて−地方税法と憲法政教分離原則の新しいケース

 10月5日,本サイトにおいて,朝日新聞10月04日付記事(「信州大内の神社、『徴税すべき』 大学教授が提訴」)を紹介しました。この提訴について,原告の帝京大藤原英夫教授から下記のようなコメントを頂きました。ここに掲載いたします。(ホームページ管理人)。

 本件は、税法の根本に関わる問題です。市と県が、固定資産税の台帳に、不動産物件の記載をしないで徴税を怠り、納税義務者の地方税不納付ないし脱税などの行為が行われた地方税法の違反です。違法の実態は、市にその台帳そのものがないという、すなわち関係書類が皆無となっている異常な状況のなかで、先ず違法の事実関係の解明が、求められます。ちなみに本件は、平成16年7月14日東京高等裁判所判決(同年7月21日判決確定)の信州大学(信大)キャンパス神社違憲訴訟の結果として、関係する税法違反が明確となった為に提訴としました。

 ところで、平成16年4月の国立大学法人法の施行によって、信大は独立行政法人へと移行しました。国有地の神社は、土地不動産と共に信大に出資されることとなり、また国立大学法人信州大学が国の法的な代理人となりました。右の高裁確定判決によって、国立大学の国有地に存置する神社が憲法違反とされたのであるから、国が信大に出資した神社は、同様に違憲となります。その上に、当該物件が、市の固定資産税台帳に載っていないという税法の違法事態で、異例です。さらに教育法からは、高等教育の本部キャンパス違憲神社という、大学の自治、学問の自由に関する憲法、教育基本法の規定を、侵害しています。

 東京高裁判決には、「憲法第89条(政教分離原則による公金支出禁止)の精神に、明らかに違反する」と、明記されています。よって、国と地方自治体の県、市に対して、地方税法の厳格な適用、及び職権による表示登記を行うように求めます。本件神社には国が一切関知していないとしているから、地方税による違法な免税措置は、市による直接の神社に対する不正の公金支出に当たります。明らかに、憲法の政教分離原則に、違反します。信大神社は、学校教育法が適用される事例ですから、教育法と憲法に違反したケースとして、教育基本法改訂、憲法改正問題に関連する重要なテーマです。なお、本件について今後、判例事例研究、あるいは諸分野の学際的なアプローチが期待されます。

以上

[関連ニュース=本サイトで取り上げた記事]
信州大構内の神社違憲訴訟、「憲法の精神に反し不相当」 藤原英夫帝京大学教授の賠償請求は棄却 東京高裁(2004年07月15日)
信州大構内の神社違憲訴訟 東京高裁(続報)(2004年07月16日)
信州大内神社訴訟 高裁判決が確定へ(2004年07月23日)

なお,原告藤原教授のホームページサイトは以下。
http://www.members.goo.ne.jp/home/dreamcafe

投稿者 管理者 : 2004年10月12日 06:55

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://university.main.jp/cgi/mt/mt-tb.cgi/2008

コメント