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2004年11月14日

微小な多数の同じ思いを結集する新しい「技術」が必要

Academia e-Network Letter No 208 (2004.11.13 Sat) より転載
http://letter.ac-net.org/04/11/13-208.php

【編集後記】

■党首討論における小泉首相の「自衛隊がいるところが非戦闘地域だ」という、誰も反論する気にもならない「ジョーク」を、読売や産経のように政府を煽るメディアだけでなく、他の大手紙まで、いまのところ実質的に容認している【3-1】ことほど、日本の危機的状況を明らかにするものはないだろう。

4月にイラクで邦人質事件がおきたときに、そもそも大手紙幹部が首相と会食をするようなことがある、しかも、人質事件があったという報を聞いても席を立たないほど楽しかったか、あるいは重要なことを話していた、という癒着ぶりに、多くの人が驚いたと思う。その後の「人質家族バッシング」において果した大手紙の「活躍」は、政府と大手紙の癒着(あるいは阿吽の呼吸) が実際に進んでいることを示した。もちろん、ジャーナリストとしての使命を忘れない少数の記者の方々やフリーなジャーナリストの活躍や、いくつかの地方紙が健闘していることで、日本はまだ救われているのだと感じるが。

なお、国会という、いわば最も公的な場において、日本政府の最高責任者が、法治国家の根本原理を明白に無視する言動をして責任を問われないまま終るとすれば、「権力を持てば何でも許される」という「教訓」を全国民に提供することになる。これほど、初等・中等・高等を問わず教育の効果を低下させることは少ないであろう。

■イラク駐留延長問題については国論は割れていない。大多数が反対している。イラク派遣に賛成した人たちも、イラクの現状と自衛隊が何をしているかが明らかになったいまは、駐留を延長することに疑問を感じている。

報道官制が敷かれているといっても、ネット上には、イラクの現状についての信頼できる情報が流れており、メディアの報道の偏向ぶりを知るに十分な材料がある。太平洋戦争前と違い、メディアの報道を検証するための手段--時間もお金も必要ではない手段を誰もが持っているゆえに、メディアが醸成する空気に従って自衛隊のイラク駐留延長の強行を「仕方がない」と容認するとすれば、わたしたちの罪は、戦前の世代の罪とは比較にならないほど大きい。

明らかな民意を無視し、また自衛隊の人たちの口を封じつつイラク駐留延長を強行する内閣、それを、批判しつつも容認する連立与党、そしてそれを陰に陽に支持する大手メディア、という「戦車」や「戦闘機」の軍勢の前に、数千万の人々が真意を実現する手段は「竹槍」や「投石」しかないような状況である。

このままでは、それぞれのひとの願いは、日常生活の無数の緊急事の中に埋もれバラバラのまま散逸し、苦い諦念だけが残る。その無数の諦念で舗装された道の上を戦車が進み、現在ではまだ誰もがとんでもないことと思っているようなこと、たとえば徴兵制導入のようなことでも、「仕方がない」という空気が広がって、すぐに実現する時が来るのではないかと心配する。

今回のように民意に反した政策決定が行われそうなとき、微小な多数の同じ思いを結集する新しい「技術」が必要である。種々の人たちが動きはじめている。Publicity の若い編集者が呼び掛けに応じて、多くの人が、それぞれの状況において無理なくできる微小なことを実行することにより道は開かれるときが近づいているようにも思う。種々の形態で表示された微小な意思を結集する種々の「技術」が着実に増えつつあるからである。


投稿者 管理者 : 2004年11月14日 01:42

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