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2005年03月29日

平安女学院大、就学権確認訴訟(5月23日判決予定) 原告の主張

平安女学院大学 守山キャンパスの存続を守ろうの会
 ∟●「全国初、学ぶ権利が認められれば、統廃合に待ったがかかる!?」(3月28日)

 理事長・学長によるワンマン経営と教職員・学生を含む大学全構成員による自治(いわゆる大学の自治)の欠如あるいは弱体化は,様々な部面での教職員の権利侵害のみならず,学生の就学権・学習権の著しい侵害をも進行させる。さらに,ある場合には自治体財政の「食い逃げ」や地域の荒廃さえもたらしかねない。下記に「就学権確認訴訟」として裁判に訴えた原告主張にみる平安女学院大学キャンパス統廃合問題はその典型と思われる。

 平安女学院大学守山キャンパスが開校後わずか5年で閉校され,高槻市のキャンパスに移転統合される問題と訴訟については,下記の新聞記事に委ねたい。
■2004年10月まで
http://university.main.jp/blog/archives/cat_eaeeeeaoeacoe.html
■2004年11月~今日まで
http://university.main.jp/blog2/archives/cat59/index.html
■新聞報道一覧(2004年新聞報道一覧)
http://university.main.jp/blog2/archives/2004/12/2004_3.html

 また,この問題は,ネット上において自由法曹団が弁護士の立場から訴訟の性格と理論を論じている(ただし,本提訴における訴状および準備書面等を見ていないので,実際の主張の組立てはわからない)。
■大学のリストラ、私学「補助金の食い逃げ」でたった五年でのキャンパス移転に対し「就学権確認訴訟」で対抗
http://university.main.jp/blog2/archives/2004/12/post_235.html

 「就学権確認訴訟」の原告代表は,同大学4年生(2005年度において)の川戸佳代さんという女子学生である。原告ご本人とは,全く面識はないが,この間,若干,メールのやりとりをした。この提訴については,大多数の学生の「守山キャンパスで学びたい」という真摯な思いを訴えたという側面と,自由法曹団弁護士が述べているように,「本来、補助金を出した滋賀県と守山市がなすべき大学存続を求める訴訟を学生が代わって提起した」という側面をもつ。私はこの訴訟と市民をも巻き込んで進められてきた原告学生らの運動に注目していきたい。
 と同時に,この問題が大学内においては学生のみの対応と運動にならざるを得なかった(と思われる)点にも留意したい。一体,同大学の教職員は何をやっているのだろうか。キャンパス設置・移転を巡る問題は,巨額な自治体公金支出を伴っているだけに,今回の学内対応はだれが見てもおかしい。この問題に関する教授会あるいは教職員の見解なり声はほとんど外部には届いていない。この点,大学自治の形骸化,あるいは構成員の意見をくみあげる手続きや仕組みというものの欠如と無関係ではあるまい。(ホームページ管理人)

「全国初、学ぶ権利が認められれば、統廃合に待ったがかかる!?」

…略…

 日本では大学の自治が確立されていない所が多いようだ。私たち「学生」がおとなしいのが原因だろうか。教授会は、何のためのものか見直さなければならないのではないか。大学の自治が確立されていない大学において、経営者の経営権が乱用される恐れがありワンマン経営者は、これを食い物にしたがる。自分の通う大学がハイエナに狙われているのではと注意深くなることも必要である。責任逃れをしているのか、文部科学省は私たちの統合問題を「あくまでも学校法人の経営問題」としてしか受け止めなかった。経営に関しては監視の目が無いのが現状だ。統合は、国への「届け出」で済まされてしまうため、行政はもとより、消費者である私たち「学生」や保護者からの厳しいチェックシステムを早急に構築することが求められる。最近、「会社は誰のものか」と言う議論がメディアにおいて見られる。では、私立大学は誰のものだろうか。私立大学は経営者だけのものではない。一般企業の経営権と私立大学の経営権にも大きな差がある。それは、私立大学の多くが補助金(公金)を受けていて公共性の高い教育機関であるということだ。平安女学院は、国から6032万円の私学助成金を受けている。それだけではなく、守山キャンパス設置費用のおよそ70%が守山市と滋賀県の補助金である。一般企業よりも高い社会性が必要とされていることは言うまでも無い。昨年12月の中央教育審議会中間報告では、教育や研究が長期的観点からの社会貢献であり、大学の「第三の使命」として捉えていくべきであるとされている。

 全国にある大学の中には、キャンパスの統廃合などを進めている所もある。しかし、開学からたった5年で閉鎖されるキャンパスが他にあるだろうか。何の前触れもなく、「来年から統合するから、あっちのキャンパスに行け、行かないなら辞めればいい」と学院側は言い、その理由は経営困難であると言う。しかし、学院側は財務状況を公開しようとせず、「このまま行けば潰れる」と脅す。こんな大学が他にあるだろうか。公共性の高い大学のこんな悪行を見過ごしていいのだろうか。
 石川県の七尾市が約10億円の補助金を投じ設置された七尾短大は、学生が集まらず募集停止を余儀なくされた。この七尾短大は、昨年の春に最後の在学生をしっかりと送り出している。他に、経営破綻した大学が希望者のために転学先を整えたケースもある。
 平安女学院大学の場合、事実上の統合が決まっているにも関わらず、一年生は何も知らされずに守山キャンパスに入学してきた。新入生は、入学してから一週間後に自分の学部が来年から統合される事を学院からでは無く、新聞報道で知らされる事となった。私たち3期生も入学前に統合の説明を受けずに入学した。はっきりと言わせてもらうが、これは詐欺行為だと思う。
 さらに、守山キャンパスを設置するにあたり、土地や建物に25億8600万円もの補助金を投じた守山市と8億円の補助金を投じた滋賀県の了承を得ずに、学院側は統合を強行しようとしている。私は、守山市長が「市に対するやり方と学生さんに対する(学院側の)やり方は全く一緒です」と話していた事を思い出す。また、学院と守山市はまちづくり連携協定を結んでいる。皮肉にも、守山市は大学を核としたまちづくりを目指しているため、駅前から大学までの道路開通工事を進めている。学院側の統合の強行によって、市民の期待もはかない夢と消え、守山市のまちづくりは台無しになったと言える。私の弁護士は、これを補助金の食い逃げと呼んでいる。
 全国で補助金を受けたキャンパスは、ピーク時の平成9年に390校にも及んでいる(朝日新聞2004年8月2日)ことから、各地でも今回と同様のケースが相次ぐと見られている。私たちの被害を、文部科学省は契約違反として認識しているらしいが、大学全入時代を前に、全国で初めてと言われる就学権確認訴訟(5月23日判決の予定)がセーフティーネットとなり、他大学の学生たちの救済に少しでも役立てば嬉しく思う。


投稿者 管理者 : 2005年03月29日 03:46

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