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2005年11月17日

全大教、文科省宛「2006 年度政府予算編成期に向けた国立大学・高等教育予算等の充実を求める要望書」

全大教
 ∟●2006 年度政府予算編成期に向けた国立大学・高等教育予算等の充実を求める要望書
財務省宛「2006 年度政府予算編成期に向けた国立大学・高等教育予算等の充実を求める要望書」

2005 年11 月11 日

文部科学大臣
小坂憲次 殿

全国大学高専教職員組合
中央執行委員長 大西 広

2006 年度政府予算編成期に向けた国立大学・高等教育予算等の充実を求める要望書

 2006年度概算要求では、国立大学法人等の運営費交付金にもマイナス3%のシーリングが加えられることが予測され、前年度98億円の減額とされた運営費交付金は、国会附帯決議「(「運営費交付金の算定に当たっては、・・・法人化前の公費投入額を踏まえ、従来以上に各国立大学における教育研究が確実に実施されるに必要な所要額を確保するよう努めること。」)」にもかかわらず、なし崩し的に減額される恐れがあります。
 各大学等では研究予算の削減や人事院勧告準拠に基づく教職員給与の切り下げの検討や非常勤講師の減等人件費削減による対応を余儀なくされつつあります。しかし、今後、運営費交付金の削減が継続すれば大学等の教育・研究・医療と教職員の労働条件は重大な打撃を受け、高等教育の将来に重大な影響を与えることは必至です。
 また、今年度の授業料の引き上げに続き、財務省から文科省に対して2006年度入学金引き上げが求められています。すでに国立大学の入学金は私立大学の平均を上回っており、引き上げの根拠は全くなく、教育の機会均等の原則をさらに堀崩すものです。
 「知の共同体」として大学・高等教育への社会と地域からの期待は大きくなっており、教育・研究・医療を充実・発展させるための基礎的基盤的経費の確保は重要な課題です。
 2006 年度の政府予算編成に向けて、下記の事項について要望致しますのでその実現にご尽力をくださるようお願いします。

1.国会での附帯決議や国立大学法人の設置目的をふまえ、学術研究の水準の向上と均衡ある発展をはかるため、国立大学等に対して、運営費交付金等に対するマイナスシーリングを加えないこと。効率化係数(毎年1%)、附属病院における経営改善係数(毎年2%)による運営費交付金の削減を行なわず、運営費交付金をこれ以上減額させず、増額すること。
 また、自己収入増への誘導をはかり、大学間格差を一層拡大し、地方大学の存立基盤を危うくする運営費交付金制度を抜本的に見直すこと。

2.入学金、授業料等の学生納付金について、経済状況によって学生の進学機会を奪うこととならないよう、引き上げを行わないこと。
 このことと関連して、国際人権規約の「高等教育無償化条項」留保の撤回を行うこと。
 日本学生支援機構等の奨学金制度のさらなる充実を図るとともに、授業料等減免制度の充実や独自の奨学金の創設等の各国立大学法人による学生支援の取り組みについて積極的に推奨すること。

3.人類と地域社会の負託に応える大学・高等教育の新たな構築をはかり、高等教育予算を欧米並みのGDP 比1%に引き上げること。その際、研究教育の中・長期的発展をはかる立場から、過度の競争的資金重視政策ではなく、基礎的基盤的経費の充実をはかること。

4.高専機構への運営費交付金について、その教育機関としての特性や自己収入を拡大することが困難なことなどから、効率化係数(毎年1%)による削減を行わないこと。

5.第162 回通常国会で成立した「学校教育法の一部改正」による「大学の教員組織の整備」について、大学の自治に充分留意しつつ、教職員の労働条件改善と教育研究の発展に資する観点から、各大学での恣意的運用を防ぐため「ガイドライン」等により周知をはかること。

6.政府の競争的資金(科学研究費補助金等)について、教育研究の総合的かつ均衡ある発展をめざす立場から「オーバーヘッド制」等による資源の再配分システムを導入すること。

7.大学等における超過勤務労働に対する「不払い」が生じないよう、人件費を増額するなど必要な措置を講ずること。

8.教員の任期制について、国立大学法人法の附帯決議である「大学の教員等の任期に関する法律の運用に当たっては、選択的限定的任期制という法の趣旨を踏まえ、教育研究の進展に資するよう配慮するとともに、教員等の身分保障に十分留意すること。」に基づき、「任期」法の趣旨の周知等の適切な措置をとること。また、「大学の教員等の任期に関する法律」は、労働基準法に対して優先する特例法という位置付けをふまえ、労働基準法14 条に基づく教員の期限付き雇用について、国・公立大学等に対して、慎重な対応を求めること。

9.国立大学等において質の高い教育研究成果を得るため、「国立大学等施設緊急整備5 か年計画」に続く、新たな施設整備計画により、老朽施設、先端施設、学生寮の整備など教育研究環境の着実な整備を推進すること。
10.貴省による評価と資源配分機関が直結する方式を見直し、少なくとも、資源配分については、その自律性を高める立場から、大学・高等教育関係者が担うよう改めること。その立場から大学評価・学位授与機構及び国立大学法人評価委員会による中期目標・中期計画に対する評価の基準を示すとともに、運営費交付金を算定する
際にその評価結果をどのように扱うのかを早急に明らかにすること。
 また、中期目標・計画の年度評価の取り扱いを明らかにすること。

11.団塊世代の教職員の退職時期を控え、今後増加が予想される退職手当について、大学等の対象者に対して、不足することなく措置すること。


投稿者 管理者 : 2005年11月17日 00:29

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