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2005年11月07日

神戸大学、学長会見内容

神戸大学教職員組合
 ∟●組合ニュース第3号(2005.11.04)

1.神戸大学の戦略について

当局、組合双方の自己紹介のあと、神戸大学の全般的問題について次のようなやりとりがあった。
組合:神戸大学をどこに導いていくか。神戸大学としての弱みと強みがある。すべての分野を強くできるのが理想だが、限られた資源の中ではそういうわけにはいかない面もあるだろう。戦略的にどう判断して大学を運営していこうとしているか。それを踏まえて給与の問題を話し合いたい。これは現場の職員のモチベーションや、人材の活用にも関係する重要な問題である。
学長:私は法人化後、財政的安定性をいかに保つかということが頭から離れないが、神戸大学としては中期目標達成が最大課題であることはもちろんであるが、なかでも国際性をいかに高めるかが重要なテーマである。
 最近招かれて中国のいくつかの大学を訪問したが、いずれも学生や研究者の施設・設備を整え、世界のトップクラスの大学からの招聘を進めるなど、国際的な地位を高めることに重点をおいて活動している。神戸大学においてもこうしたことに着目し、中期目標を見直し、どれを重点にするのか見極めたいと思っている。7月には戦略的な国際活動を進めるために国際交流推進本部を設置、またEU Institute in Japan, Kansai (EUIJ 関西)をスタートさせてEUについての総合的な教育研究を行うこととした。アジアやアメリカだけではなく「ヨーロッパとの連携」を打ち出し、特色を出していきたいと考えている。
 大学の環境整備を図る上では国の財政が厳しく、工学部、農学部の改修などやるべきことが多くあるが全面的に進めるのは難しい。限られた施設整備費の中で施設評価委員会で優先順位を決めてやっていくしかない。大学院教育の実質化が重要であり、国際的競争力を付けることが最重要課題であり、本学の全分野で競争力を育てたいが、現在の競争的環境を生き残るためには、重点化していく必要がある。競争的ではあるが、4つの学術分野は全体として育てるようにしたいと思っている。
 給与のことであるが、法人化スタートのときは政府は中期目標期間である6年間は枠組みは変えないと言っていたのに、1年もたたないうちに1%の効率化係数という話がでてきた。今度は、来年度は例外なく3%のシーリングをかけると財務省が言い出している。文科省はこれを埋め合わせる財政的措置を考えることもあるようだが、その場合でも競争的資金は出すが、経常的経費はつけないという方向だ。入学金値上げという話が年末にも出てくる可能性がある。こうした状況でどういうことが考えられるか、シミュレーションをしている段階である。人勧についてどうするか検討中であり、少し時間をいただきたい。18年度以降をどう考えるか、神戸大学全体の財政現状に加え、将来予測、国の運営費交付金のフレームの変化を見据えてやっていかなければならない。時間をかけて検討したい。
 他大学でも対応について模索中という状況であり、他大学がやるから本学ができるかと言えば財政状況が違うのですぐにOKとはいかない。こうした問題も詰めて言えば、神戸大学が何のために存在するのか、ビジョンの見直しも必要であろう。神戸大学が地域に貢献できているか、また神戸大学の国際的あるいは日本や関西における位置づけをはっきりさせていかなければならない。
理事:学長は教育研究のことをいわれたが、人件費のシミュレーションについても始めている。戦後世代の教職員の退職が、ここ2~3年で事務員のピーク、さらに2~3 年遅れで教員のピークがくるので、今から数年は相当の財政支出が続く。それを避けるために退職の後は新しく採用しないということも考えられるが、そのままでは教育研究環境の確保ができない。神戸大学全体として一緒になって考える必要がある

2.給与問題について
 人事院勧告に対する大学の姿勢、地域手当をめぐって以下のようなやりとりがあった。
組合:今年度の人事院勧告が8月15日に出され、10月4日に国家公務員給与法改定案が閣議決定された。国立大学教員の給与に関しては9月2日、全国人事委員会連合会が「参考モデル給料表」を策定して国立大学協会に提示した。この給料表はほとんど人勧に準拠している。組合は賃金引き下げ反対の署名に取り組んだが、昨年と同様1100筆を超えるものとなり、とくに明石附属学校、養護学校ではほぼ全員が署名した。
 給与は教職員にとって生活の重要問題であり、とりわけ今回の人事院勧告は給与引き下げであり、就業規則の不利益変更となるもので大きな不安がある。組合と十分話し合い、合意の上で進めてもらいたい。
 「国家公務員給与準拠」という話があるが、神戸大学の職員の給与は国家公務員に比べてかなり低く、教員についても私学と比べて決して高くない。
 人勧との関わりで言えば、今年度をどうするかということと、来年度以降をどうするかということと分けて考える必要がある。今年度については給与表をいじらないという大学もある。来年度以降では明石地区の地域手当がとりわけ大きな問題である。
学長:人勧について大学としてどういう姿勢をとるかということだが、本学では法人化にあたって人事制度を考える際、「当分の間人勧準拠でいこう」という話になっていたこと(2003年10月16日の評議会決定)、本年9月28日の閣議決定で「役職員の給与改定については、国家公務員の給与水準を十分考慮して適正な給与水準となるよう要請する」となっていること、などから考えると神戸大学教職員の給与についても人勧に則って考える必要がある。地域手当については忸怩たる思いもあるが、無視もできない。来年度以降については人勧も含めてどうするか、時間をかけて検討したい。今年度については人勧に則っていくことにはなるが、しかし構成員に不利益、減額があってはならないとの最高裁判決も考慮しなければならない。現在の給与水準については考慮したい。10月25日の経営協議会に諮った上で、方向について組合とも話がしたい。
組合:来年度以降について検討するということだが、そんなに時間があるわけではない。目途をどれくらいと考えているか。検討のなかには業務見直しも含まれているのか。今年度は現在の給与が維持できる方向で検討している、ということか。
学長:今年度についてはそういうことである。今年度と来年度以降とは分けて考えたい。来年度以降についての検討が何時ぐらいを目途というのは今は言えない。業務見直しについては検討のためのプロジェクトを立ち上げて始めたばかりである。職員の首切りをするという話ではなくて学生サービスや教育研究のサポートを充実させるために人員配置を含めて考えたいということである。
組合:地域手当は大問題であると考える。養護学校のことは学長もよく認識しておられることであり、養護については当局の尽力で改善されたが、再び下がるというような非人間的なことはなさらないと受け止めている。明石の学校にこれが適用となれば大幅な給与切り下げである。同じ神戸大学という職場で働いているのに給与、手当が違うというのは問題だ。
学長:組合側より厳しい現状認識をしている。財政的に人勧並みにできるかどうかも問題だ。定年延長の話があり、その人件費はどうするのか、人勧や政府の方針、財政状況、いろいろなファクターを整理して考えなければならない。
組合:ファクターの話をされたが、附属学校も大きな要素である。神戸大学の教育という点で附属学校がどのような位置づけをされるのか。そのことと給与問題はむすびついている。
学長:附属学校は神戸大学において重要な役割を果たしている。それに見合った処遇になっているかという問題がある。人勧も考え併せて検討しなければならない
組合:検討するにあたっては、仕事をした人が正当に評価されるように考えてほしい。また、お金の確保の問題もあるが、使い方をどうするかが重要である。
学長:神戸大学がミッションをどのように持ち、それに向けて教職員が活動していく、そのなかで給与も含めて処遇をきちんとする、という理解でいいかと思う。


投稿者 管理者 : 2005年11月07日 00:00

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