個別エントリー別

« 立命館アジア太平洋大学の不当解雇 | メイン | 京大職場フォーラム2005「ちょっと立ち止まって-京大の未来を考える」 »

2005年11月25日

文科省、国立大学法人における平成17年度人事院勧告に伴う役職員の給与等の取扱いに関する基本的考え方

埼玉大学教職員組合
 ∟●文科省作成労務担当マニュアル

取扱注意

国立大学法人における平成17年度人事院勧告(給与構造の基本的見直し) に伴う役職員の給与等の取扱いに関する基本的考え方

1.基本給の水準引き下げについて
① 給与については、法人自らが決定することとされている一方で、準用通則法により、「社会一般の情勢に適合したものとなるよう定めなければならない」とされ、また、閣議決定(16.9.10)においても「役職員の給与改定に当たっては、国家公務員の給与水準を十分考慮して適正な給与水準とするよう要請する」とされているため、国立大学法人の役職員の給与等は人事院勧告に直接影響されるものではないものの、依然として人事院勧告も有力な参考材料と考えられる。

※社会一般の情勢を判断する上で、極めて客観性・合理性のある人事院勧告
①国立大学法人の現在の給与体系は、国家公務員の給与制度にほぼ準拠していること。
②法人化後の国立大学法人の経営情勢に鑑み、給与体系を国家公務員に準拠しないとする状況の変化は今のところ考えにくい。
③各国立大学法人として独自に給与改定を行うために、大学として調査のための専門的組織を持ち、労働市場等、社会一般情勢についての調査を行っていない。
④人事院勧告の資料は、専門組織による全国規模の調査に基づくものであり、その客観性は社会的にも認められている。
② 人事院勧告を参考とした場合、例えば全員の基本給を一律に現状維持するのではなく、基本給は国家公務員並みに一旦引き下げた上で、明確な人事管理方針に基づく処遇改善や勤務成績による実績反映、さらには、外部からの優秀な人材確保の方策等計画を立てる必要がある。
③ この場合、基本給引き下げに伴い財源に余裕が生じる場合は、安易に物件費等に流用するのではなく、今後の給与制度、処遇の在り方、人員管理等、各大学の人事戦略に基づく計画に充てることが有効。
④ 国立大学法人の職員の退職手当の財源となる、運営交付金の算定上のルールは、「国家公務員並」であることを十分理解した上で、基本給について適切に対応する必要がある。(例えば、基本給の引下げを行わない場合で、現在の退職手当規定を改正しないときは、当該大学において国家公務員並以上の退職手当については独自補填となる。)

2.地域手当について
① 上記1.の①を勘案すると当該手当は、より地場賃金を反映した地域ごとの水準であることから、基本的には国家に準拠することが有効。
② しかし、例えば国に準拠すれば、複数のキャンパスを有する大学内においてキャンパス間に差が生じ、法人における人事管理や経営戦略に支障が生じるといった場合は、各法人における中・長期的な財政状況等を踏まえた上で、法人全体として差を設けないことも、各法人の判断により可能ではあるが、当該手当の水準をどの程度の水準にするかについては十分検討する必要がある。
③ 人事院においては当該手当の異動保障を検討しているが、特に東京特別区以外の地域の大学においては優秀な人材の確保を目的として、各法人において国と同様の異動保障規定の整備を検討することも有益。

3.その他の改正等
基本的には給与水準は上記1.の①を踏まえ、国に準拠することが適当と考えるが、より優秀な人材を確保する観点から、経営戦略の下、財政状況を十分考慮しつつ、法人としてどの程度弾力化することができるのかについて検討する必要がある。

4.総論
① 何れにしても、まずは、各法人における人件費等に関する情報等を職員に対し明白にした上で、今回の給与水準の公表における数値の詳細な分析を基に、各法人における人件費に関する今後の計画等を職員に説明し理解を得ることが必須。
② 給与水準を下げる場合は、最終的には、就業規則の改正により対応することとなるが、上記の考え方をそれぞれの法人において十分に整理、検討した上で職員の納得を得る努力をしつつ、組合とも誠実に交渉していくことが必要と考える。
③ 「役職員の報酬等及び給与水準の公表」が毎年義務づけられていることから、各法人において対外的に説明責任を果たすとともに、規定等を整備し公表するなど公正性・透明性の確保が必要となる。

【参考】
医(一)【厚生省の医師】と教(一)【大学附属病院の教員】との較差問題
①医師の勤務実態と教員の勤務実態との違いを理解(教員は、教育・研究費や、兼業に よる収入もあること。)
②診療行為のみ行う医師を雇用することも可能であり、その者に対して医(一)を適用することは可能。
③医員・研修医の処遇を改善し、より多くの医員・研修医を雇用し常勤教員の診療負担を軽減することも検討。④診療実態に即した手当の創設も必要に応じて検討。
⑤給与のみの問題ではなく、研究費や兼業も含んだ環境も踏まえた上で、経営戦略の検討が必要。


投稿者 管理者 : 2005年11月25日 00:17

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://university.main.jp/cgi4/mt/mt-tb.cgi/824

コメント