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2006年07月03日

横浜市立大学、昇進手続きに関する一組合員からの報告

横浜市立大学教員組合
 ∟●組合ウィークリー(2006.6.30 )

昇進手続きに関する一組合員からの報告

一組合員から以下の報告がありましたので、お知らせ致します。

教授昇任の際の有期労働契約への同意を求められた件について報告します。

一組合員

 人事当局から当方の研究室にきて話をしたいとの電話があり、約1時間半後に研究室で話を聞くと答えた。 話し合いは60分をこえた。
 まず、「昇任について」の通知(個人宛、6月27日付)および「雇用契約書」(7月1日付)(*組合注)を示され、署名と捺印を求められた。
 当然拒否する旨を伝えた。
 当方は、大学の教員等の任期に関する法律の国会審議における文部省高等教育局長の答弁(平成9年5月16日)等の文書を示し、横浜市大の任期制とくに任期契約に同意しないと教授にしないというやり口は、国会答弁に反することを行っているのではないかと質した。人事課長からは、(反するとは認めないものの)反していないという積極的な説明・発言は何もなかった。
 「普通にやっていれば再任される」と当局は説明してきたが、今日においてもそのようなシステムは出来上がっていない。にもかかわらず、そのような説明をして、あるいはそのような説明を改めないままに任期契約への同意を求めることは許し難いことであると、当方は主張した。
 当方は、雇用契約書に記されている「自己都合による退職は少なくとも6ヶ月前までに申し出る」という定めが、教員にとっていかに不利であるかを説明した。 さらに、次のことを指摘した。労基法による有期労働契約の場合、労働者側が雇用期間満了前に転職・辞職すると、使用者側から損害賠償を請求されることがある。そのようなことはしない旨が契約書に書いてあれば別だがそうではないので、この契約書では損害賠償を請求されたら支払わなければならないことになる(前記「自己都合による退職は少なくとも6ヶ月前までに申し出る」の定めが、6か月前までに申し出れば損害賠償請求しないということを意味する可能性もあるかもしれないが、不明確である。いずれにせよ、6か月前までに申し出なければ労働者側に損害賠償責任が生ずることは間違いない)。
 当方は、人事当局が上記のような説明をきちんとしないで、契約書への署名捺印を求めることは許し難いことであると述べた。生命保険の契約の際、セールスレディーがいい加減な説明をして契約させることが以前社会問題になったが、再任されない場合の損失は、だまされて生命保険を契約する場合とは比べものにならないほど大きなものである。したがって、任期制(=有期労働契約)の危険性、そして「普通にやっていれば再任される」システムが(少なくとも現段階では全く)つくられていないことを充分に説明しなければならないはずである、にもかかわらず、それをしないのであれば、人間としてとうてい許し難いことであり、将来にわたって人間としての責任を追及するつもりであると主張した(法的責任ではないので、時効はない)。
 公務員の場合、係長から課長になる際に任期がつけられて、「課長失格だからクビだよ」ではおかしいではないか、 課長失格なら係長に降格させるのが妥当ではないか、と当方が主張したところ、反論はなかった。
 当方は、人事課長に放送大学再任拒否事件と京都大学再生研の再任拒否事件に関する新聞記事のダウンロードしたものを示して、任期制では優秀な教員・目立つ教員が再任拒否される場合が珍しくないこと、そしてそのことが任期制の重大問題のひとつであることを説明した。とくに反論・返答はなかった。
 「年俸」の額が具体的に記載されていたので、どのようにして決めたかと尋ねたところ、旧給与表の直近上位に位置づけたとの答えであった。そこで当方は、その額のままその後4年間上がらない(つまり据え置き)ということかと尋ねたら、そうだという答えであった。
 そこで当方は、それなら教員評価の結果がよくても悪くても増減なしということになるので、教員評価に関して人事当局が説明してきたことと矛盾するのではないかと主張した。
 すると、「まだ制度がちゃんとできていないので」といった趣旨の答えが返ってきた。
 当方はそれに対し、再任されなければクビが飛ぶというシステムをやろうというのに、制度ができていないというのは無責任であると主張した。公務員として人間として、なすべきことをしていないのではないかと述べた。

以上です。

(*組合注)当日示された「雇用契約書」(7月1日付)については、PDFファイルをご覧下さい。


投稿者 管理者 : 2006年07月03日 00:01

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