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2006年08月01日

OECD対日経済審査報告書2006年版

OECD対日経済審査報告書2006 年版
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 OECD(経済協力開発機構)は「対日経済審査報告書2006」を発表した。「日本の相対的貧困率は今やOECD諸国で最も高い部類に属する」と指摘し、「所得格差や貧困の拡大」の主な要因を「労働市場での二極化の拡大」に求めている。その解決のためには「正規労働者に対する雇用保護を緩和し、企業の非正規労働者雇用のインセンティブを低下させることや、臨時雇用者に対する社会保障の対象範囲拡大などを求めている。」

 この主張において,「正規雇用者に対する雇用保護の緩和」は全くいただけないが,企業の非正規雇用のインセンティブを低下させる措置や臨時雇用者に対する社会保障の強化は,重要な課題である。

……

どうすれば不平等や貧困の拡大を反転できるか?

 税制改革においては、近年、生産年齢人口においてより拡大している所得格差への影響も考慮すべきである。実際に、ジニ係数は、1980 年代半ば以降大幅に上昇し、OECD 平均を大きく下回る水準からやや上回るまでに上昇し、日本の相対的貧困率は今やOECD 諸国で最も高い部類に属する。人口高齢化は、賃金のばらつきが比較的大きい50~65 歳の労働力の割合を高めるため、格差拡大の一因となっている。しかし、主な要因は労働市場における二極化の拡大にあると考えられる。10 年前には全労働者の19%だった非正規労働者の割合は、30%以上に増加した。パートタイム労働者の時間当たり賃金は平均してフルタイム労働者の40%にすぎない。この格差は、生産性の差で説明するには大きすぎると考えられる。非正規労働者の増加は部分的には景気循環要因で説明されるが、非正規労働者から正規労働者になった者の割合が低いことを考慮すれば、労働市場の二極化が固定化するリスクがある。所得格差や貧困の拡大を反転させる重要なひとつの鍵は、労働市場の二極化の緩和である。これには、正規労働者に対する雇用保護を緩和するなど、企業の非正規労働者雇用のインセンティブを低下させる包括的なアプローチが必要とされる。また、臨時雇用者に対する社会保障の対象範囲を拡大し、非正規労働者の雇用見通しを改善することが重要である。

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投稿者 管理者 : 2006年08月01日 00:02

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