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2006年12月18日

子どもと教科書全国ネット21常任運営委員会、声明「与党の政府・教育基本法案の「可決」に断固として抗議する」

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 ∟●【声明】与党の政府・教育基本法案の「可決」に断固として抗議する

【声明】与党の政府・教育基本法案の「可決」に断固として抗議する

 子どもと教科書全国ネット21常任運営委員会

 自民党・公明党の与党は、12月14日18時過ぎに参議院特別委員会で政府の教育基本法案を強行採決し、15日の参議院本会議で数を頼みに可決・成立させた。慎重審議・徹底審議を求める圧倒的多数の国民の声に背を向け、野党の反対を押し切った強引な採決である。私たちはこの政府・与党の暴挙を絶対に許すことはできない。私たちは心からの怒りを込めて断固として抗議する。
 
 衆議院でも参議院でも、法案審議はきわめて不十分であった。いま何故、教育基本法を「改正」する必要があるのか、「いじめ」をはじめとした教育が政府法案によって改善されるのかどうか、現行教育基本法では「教育危機」になぜ対応できないというのか、政府法案がめざす具体的な教育像などについても、まともな政府答弁はなされていない。教育が良くなるという展望を示すことができない法案の強行採決は、教育の破壊をめざすものである。特別委員会の参考人や公聴会公述人の意見は、法案審議にほとんど反映されていない。政府法案反対、今国会での成立反対・徹底審議を求める圧倒的多数の国民の声は無視され続け、法案審議に反映されなかった。

 政府法案は、「やらせ」と「サクラ」、税金無駄づかいのタウンミーティングによって、教育基本法の「改正」が必要という世論を誘導したものである。偽造された世論を基にした法案はいったん廃案にすることが政府の責任であり、民主主義のルールである。この点からもみてを政府法案の成立は容認できないものである。

 教育基本法は憲法と一体の教育における根本法規である。政府法案は、憲法との関係を断ち切り、憲法改悪をねらう「自民党の新憲法草案との整合性を考えて」(伊吹文明文科相)つくられた、憲法改悪を先取りした「違憲法案」である。政府法案は、個人の「人格の完成」を「個人の尊厳」にもとづいて行う教育から「国家のための教育」に変え、個人の権利としての教育を、国家の権利に変質させるものである。国家や行政は教育に介入してはならないという重要な規定を変質させ、政府や行政による教育への介入を無制限に許すものである。政府法案は、学校教育はもちろん全ての人びとの精神活動について、国定の道徳規範を「目標」として、その達成を強制するものであり、国民の内心の自由は容易に蹂躙されることになる。政府法案によって教育における競争はいっそう熾烈なものになり、教育格差はいっそう拡大し、子どもたちは早くから「勝ち組」「負け組」に選別されることになる。子どもたちの心はいま以上に荒廃して「いじめ」などの「教育危機」はさらに激しくなることが危ぐされる。

 この3年以上、私たちは教育基本法改悪に反対して全国各地で草の根の活動をすすめてきた。特に、通常国会に政府法案が提出されて以降は、全国の活動はいっそう広まり、高まってきた。子どもと教科書全国ネット21は、全国各地の活動、教育基本法改悪をとめよう!全国連絡会の全国集会などの取り組み、4波にわたる国会前のヒューマンチェーン(人間の鎖)の取り組みなどを、多くの組織や市民、教職員などと協力し、全力で取り組んできた。こうした私たちのたたかいが、世論を動かし、政府法案反対、今国会での成立反対の大きな世論状況をつくりだしてきた。国会では自民・公明の巨大与党は絶対多数であるが、教育基本法案に関しては、国民の中では少数派であり、国会審議を通じてそのことがますます明白になってきた。また、政府法案の問題点や教育基本法改悪のねらいも徐々に国民の中で明らかになってきた。こうして、追い込まれた政府・与党が強行採決という暴挙にでたのである。

 政府の教育基本法案は、「戦争をする国」をつくるために、国のために「命を捧げる人」(安倍晋三首相)をつくる教育をめざすためのものである。私たちはまだあきらめることはしないし、落胆もしない。私たちは、「戦争をする国」を阻止するために、教育基本法改悪と同じ根を持つ改憲手続き法案、共謀罪、少年法改悪などに全力をあげて反対していく決意である。

 教育基本法改悪阻止の活動の中で、現行教育基本法の理念や精神、その良さが多くの国民によって共有されるようになったことは大きな成果であった。私たちは憲法と現行教育基本法の理念と精神、国連・子どもの権利条約を大切にし、それを使った教育や社会のあり方を追求し、これらの理念や精神、基本原則によって「新教育基本法」の違憲性を具体的に批判し、安倍政権がすすめる「教育改革」の名による教育破壊に反対していく。「新教育基本法」に基づく学校教育法をはじめとした法「改正」や学習指導要領に対しても、具体的な内容に即して批判を展開する予定である。私たちは「お国のための教育」ではなく、子どものための教育の実現をめざして活動する決である。さらに、「新教育基本法」第2条の愛国心をはじめとした国定の道徳規範にもとづく教育や教科書づくりを許さない活動に取り組むことを表明する。

2006年12月15日

子どもと教科書全国ネット21

代表委員:石田米子・尾山 宏・小森陽一・高嶋伸欣・田港朝昭・鶴田敦子
西野瑠美子・藤本義一・山田 朗・若桑みどり・渡辺和恵
   事務局長:俵 義文
〒102-0072 東京都千代田区飯田橋2-6-1 201
TEL:03-3265-7606 Fax:03-3239-8590

投稿者 管理者 : 2006年12月18日 00:06

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