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2007年4月26日

日本私大教連、「学校教育法等の一部を改正する法律案」の廃案を要求する声明

「学校教育法等の一部を改正する法律案」の廃案を要求する声明

2007年4月23日
日本私大教連
(日本私立大学教職員組合連合)
中央執行委員会

 「学校教育法等の一部を改正する法律案」(以下、法案)に、先の臨時国会で全面改悪された教育基本法の第7条を受けて、83条(旧52条)に第2項として「大学は、その目的を実現するための教育研究を行い、その成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与するものとする。」が新設された。
 私たちは、全面改悪された教育基本法に同規定が盛り込まれた当初から、国家と企業に従属する大学政策が、よりいっそう強化される危険性が極めて高いことを指摘してきた。この危惧は、伊吹文科大臣が本年2月27日の経済財政諮問会議に提出した「大学・大学院改革への取り組み」資料に、今後の方向性を「国際的な視点に立った学術研究の推進と産学官連携の強化」と明記したことで、けっして杞憂ではないことが明らかとなった。
 また、学校教育法の改正を「緊急対応」課題とする教育再生会議の第一次報告が、「高等教育の国際競争力の低下」を「極めて深刻な状況」と認識し、世界的な大競争時代において「イノベーションを生み出す高度な専門人材や国際的に活躍できるリーダーの養成」を強調していることをみれば、法案の「改正」意図がさらに鮮明となり、安倍政権のいう「教育重視政策」の危険な方向が容易に理解できる。
 大学の目的と役割は、日本経団連や安倍政権が声高に主張する「イノベーション創出の起点」などに求められるものではなく、ユネスコの「21世紀にむけての高等教育世界宣言」(ユネスコ高等教育世界会議98.10.9)にこそ依らなければならないものである。
 加えて「改正」法案第113条には、「教育研究の成果の普及及び活用の促進に資するため、教育研究活動の状況を公表する」義務規定が新設されたが、これが「大学の成果と努力に応じた」(経済財政諮問会議民間四議員提言)予算配分の「選択と集中」と連動することにより、教育研究活動に深刻な事態を招来しかねない。
 以上のように法案は、全面改悪された教育基本法の具体化としての性格・内容となっていることが明白で、大学の充実・発展にとって極めて深刻な打撃を与えることは必至である。
 法案はまた、第21条第1項3号に「愛国心」教育を普通義務教育の目的として規定しており、断じて容認できない。
 国会は、本法案を広汎な国民の意見を踏まえ、十分審議を尽くすことにより、その問題点を全面的に究明する責務を負っている。徹底審議の上で、教育に本来的な自由と自治を根底から掘り崩す、国家統制の全面的強化を企図する教育職員免許法、教育公務員特例法、地方教育行政法の「改正」法案とあわせて、本法案を廃案とすることを私たちは強く要求するものである。
 以上

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