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2007年5月22日

北陸大学薬学部授業外し(不当労働行為)問題、法人理事会 命令履行を拒否、中労委へ再審査申立

北陸大学教職員組合
 ∟●組合ニュース247号外(2007.5.19発行)

薬学部授業外し(不当労働行為)問題
法人理事会、命令履行を拒否、中労委へ再審査申立
組合はこれに抗議、即時命令履行を要求

 平成18年度の6年制薬学部の開設に伴い、法人理事会は、教員3名を6年制薬学部教育現場から排除しました。石川県労働委員会(石労委)は、約1年間の審理を経て、この担当外しには正当な理由がないと裁定し、不当労働行為であると認定して、法人に対して改善の命令を下しました(全面救済。4月24日発行組合ニュース号外)。

 法人理事会は、石労委の命令を不服として、平成19年4月27日に中央労働委員会(中労委)に再審査の申立をしました。教職員組合は、緊急に団交を申し入れた結果、5月7日に団交が開催されました。組合側は、厳しい社会情勢を踏まえ、志願者獲得競争のさなかに、全国的な注視の下で係争を継続することの愚を訴えました。しかし、理事会側は、事実認定に不服があるので、「何故不服かということを(再審査)申立でしっかり白日の下に示す」と主張するばかりで、学内解決の話し合いにはまったく応じようとしませんでした。既に、双方膨大な資料を提出して主張した後、公的機関の明快な判断が示された今、法人理事会は謙虚に命令に従うべきです。もともと、薬学部3教員を他の教員と同じ扱いにしても何の問題もありません。何故それができなかったのか?公正且つ明快な審判が下ったあとでも、何故それをしようとしないのか?

 教職員組合は、団交を終えて即刻、右ページのような「要求と抗議書」を理事長宛に提出しました。これから、大学と当の教員達の教育・研究にとってはまったく無意味な、気の重くなる葛藤が継続されることになります。各方面に迷惑をおかけしなければならないことは大変心苦しいのですが、組合は大学の明るい明日のために全力を尽くします。皆さまのご理解と温かいご支援をお願い致します。

北陸大学教職組発178号 平成19年5月15日

学校法人 北陸大学
理事長 北元 喜朗殿

北陸大学教職員組合
執行委員長 林 敬  組合印

石川県労働委員会命令履行要求

 北陸大学教職員組合が平成18年5月26日に、本組合員佐倉直樹、同田端淑矩、同荒川靖の3名に対する不当労働行為について石川県労働委員会に救済を申し立てたところ、平成19年4月10日付で同委員会より全面救済の命令が発令されました。よって、本組合は、法人理事会が公的機関により不当労働行為と認定された事実を謙虚に受け止め、同命令を即時履行することを要求します。

中央労働委員会への再審査申立に対する抗議及び取り下げ要求

 本組合は、中央労働委員会より、平成19年5月11日付け「再審査申立て及び調査開始通知書」を受け取りました。本組合は、この再審査申立に抗議します。また、本学を取り巻く厳しい状況を踏まえて、再審査申立を直ちに取り下げることを要求します。

(理由)

一 平成19年5月7日の団体交渉における法人理事の回答によると、法人理事会は、本件は教育問題であるとの認識を持っており、石川県労働委員会の事実認定に不服であることをもって、上級審の場で不服の理由を開陳し、判断をいただくために、労働審判制度に基づき再審査を申し出た、とのことでした。

 しかし、3教員不採用の根拠として労働委員会の場で初めて主張された6年制薬学部教員配置基準に対し、県労働委員会はその運用について適正とは認めませんでした。さらに言えば、労働委員会の判断を待つまでもなく、3教員は教育・研究において他の教員に比して劣らないことは明白であり、薬学教育に対する意欲においても人後に落ちないこと、それゆえ、6年制薬学教育、大学院教育を担当しても何の支障もあり得ないことは、本人のみならず同僚教員諸氏の等しく知るところです。

二 3教員を教育現場から排除している現状は、特に教育現場にあってはならない差別、ハラスメントであり、人権侵害行為です。何故なら、教員が授業担当から外されることは、生涯を捧げてきた仕事を奪われることを意味します。本人にとっては、たとえ一時期であろうとも、計り知れない研究・教育上の損失であり、精神的苦痛です。公的に救済が命令されたにもかかわらず、長年本学の教育と研究に献身してきた教員に対し差別と不利益扱いを続けることは、道義的にも決して許されることではありません。

三 本組合と法人理事会の積年の対立も、県労働委員会の事実認定を受けるまでもなく、紛れもない事実です。したがって、組合活動の主要な担い手である組合員教員に対する理由のない不利益扱いは、本人を窮状に追い込むだけでなく、一般組合員を萎縮させる見せしめ効果もあり、労働委員会の認定通り、組合活動に対する介入の誹りを免れません。

四 法人理事会が再審査申立により本件の解決を長引かせ、それに伴いこれまでの数々のスキャンダルが再度人口に膾炙することになれば、本学の志願者募集において全国的に悪影響を及ぼすことは必至です。それだけではありません。教職員、卒業生、在学生は、ともに肩身の狭い思いに追い込まれます。また、本件に係わる教職員の貴重な時間が失われます。団交の席上、法人理事は、不服の理由を明らかにするのが理事会の責務、と発言されました。しかし、本件は組合対策としては意味があっても、教育上の正当な意味を見いだすことはできません。したがって、法人理事会が負うべき責務は、本件を争い続けることではなく、日々教育・研究や志願者募集に勤しむ教職員、本学を母校とする卒業生、現実に大学の評判を肌で感じる在学生に思いを致し、大学に対する誇りと希望を失わせないことです。彼らの内面の声に真剣に耳を傾ければ、今回の再審査申立は、彼らの思いに逆行していることが明らかになるでしょう。


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