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2007年5月 7日

横浜市立大学学生・教職員有志アピール、国民投票法案に反対する

■「意見広告の会」ニュース411より

国民投票法案に反対する ~不公正な改憲手続法案は廃案に!~

横浜市立大学学生・教職員有志アピール

 与党は、国民投票法案の今国会での成立をめざして強引な議事運営を行なっており、4月13日には衆議院本会で法案を可決させ、さらに、参議院で早期の 可決、法案成立を狙っています。
 わたしたちは以下に述べるように、この法案にはいくつもの重大な問題があると考えています。世論調査でも、法案ついて、最低投票率規定が必要と考える 人が8割にのぼっており(朝日新聞社4月14日、15日調査)、法案への危惧の念は広まりつつあります。
 このような法案を、十分な審議も行なわず、強引に与党側が議席数の力で成立させようとすることは許されないと思います。

今、急いで改憲手続き法を作ることが必要か?

 政府・与党は、数年以内の憲法改変をめざしており、国民投票法案がそのためのお膳立てとして考えられていることは明らかです。
 日本社会全体でも、憲法をすぐに変更する必要があると考える人は多くはありません。数多くの異論を無視して、今、急いで強引に、改憲手続法を作る必要 はありません。

法案にはかず多くの問題点

 しかも、与党の法案には数多くの重大な問題があります。このうちの一つでも問題が残るかぎり、法案成立は許されません。

問題点1 最低投票率が定められていない

 法案には、改憲のために必要な最低投票率が定められていません。このことは、ごくわずかの賛成票で改憲が可能となることを意味します。仮に投票率が4 割であれば、有権者の2割の人が賛成票を投じただけで、憲法を変えることができることになります。
 憲法は、基本的人権や平和原則のありかたを左右する重要なものであり、有権者の過半数が賛成の意思を表明していない状況で変更することは許されません。
 最低投票率の定めがないような国民投票法案には決して賛成できません。

問題点2 公務員・教員の発言と行動が禁止される

 法案は、公務員・教員の「地位利用」による運動を禁止しています。このような禁止条項があると、公務員・教員の正当な言論活動や意思表示の権利が圧殺 されてしまい、公務員・教員以外の者にとっても憲法をめぐる開かれた議論の機会が不当に狭められてしまいます。これは、言論の自由、学問の自由等の基本 的人権を侵すものであり、明らかに憲法違反です。
 特に、わたしたちは、大学で働き、あるいは学ぶ者として、また、大学における学問活動に関心を持つ者として、学問の自由を破壊するようなこの法案を容 認することはできません。

問題点3 一括投票の危険性

 法案は、関連のある複数条項について一括投票が可能になっています。複数条項についての一括投票が行なわれてしまうと、ある条項には賛成だが、ある条 項については反対、もしくは判断保留の場合などに、一人一人の意思が正確には反映されなくなってしまいます。

問題点4 おカネのあるところが有利な広告 不公平な広報

 他方で法案は、有料広告については規制を設けておらず、いくらでもテレビなどで有料CMを流せるようになっています。そうなれば、おカネのある側は好 きなだけ大量にCMを流すことができるようになってしまい、他方、資金力のない側はそうではないということになり、きわめて不公平です。
 また、広報を管理する「広報協議会」は、改憲派議員が多数を占める仕組みになっており、不公平な広報が行なわれる危険があります。

問題点5 周知期間が短かすぎる

 法案では、国会発議があってから2か月で国民投票が行なわれ得ることになっています。これはあまりにも短かすぎます。大半の人には、何が問題になって いるのかも浸透しないまま、投票が行なわれるおそれがあります。憲法改正案の各条項について一人一人が是非を議論し、判断できるようにするために、少な くとも1年以上の期間を置くべきです。

国民投票法案は廃案へ! 反対の声をあげましょう

 以上のほかにも、法案には数多くの問題点があります。
 このようにこの法案は、単に欠陥法案というだけではなく、開かれた言論によるひとりひとりの意思決定を妨げ、むりやり議会内多数派の望む改憲を実現し てしまおうとする危険なものです。
 わたしたちは、国民投票法案に反対し、国会には法案を廃案にすることを求めます。
 また、わたしたちは、横浜市立大学内外の学生・教職員・市民に、国民投票法案のこのような問題点を意識し、反対の意思表示をするよう、呼びかけます。

2007年4月27日

 横浜市立大学学生・教職員有志
学生15名
教員12名(石川文也、上杉忍、岡眞人、乙坂智子、金子文夫、倉持和雄、永岑三千輝、本宮一男、中谷祟、中西新太郎、吉岡直人、山根徹也)
職員1
上記アピールを支持します。
2007年4月27日
  学生3名
  大学教員1名(北川善英・横浜国立大学)
  市民3名

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