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2007年6月11日

大学における偽装請負問題

首都圏大学非常勤講師組合
 ∟●『控室』第63号

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<偽装請負問題>
 こうした中で、私立大学では、専門学校への丸投げや派遣の導入による教育の外注化が進んでいる。とりわけ、非常勤講師の代わりに大量の派遣講師を雇って、人件費の引き下げを図り、直接雇用を免れるために「請負」を装う例(早稲田など)が増えている。こうした大学版「偽装請負」との闘いが緊急のものとなっている。 ……

大学において請負契約等に基づいて授業を行うことについて

大学において請負契約等に基づいて授業を行うことについて

●学校教育法の規定上、大学の教学面の権限と責任は学長に委ねられていることから、日々の授業の実施についても、教育課程の編成等と同じく、学長の権限と責任の下で展開されることが必要。
 →このことから、大学の「教員」にも、学長の権限と責任の下に授業を行うことが求められている

 近時、大学と企業が「請負契約」を締結し、企業に雇用されている者が、当該契約に基づき「外部講師」として大学において授業を行う(単独で/授業を行う教員の補助者として)ような構想が散見されるが、この場合、以下の諸点に留意すべきであるので、その具体的な取扱については、文部科学省及び所管の地方労働局等の確認を得ることが望ましい。

【留意点】
<大学教員の位置付け>
◆学校が責任をもって教育を実施するには、実際に教育にあたる教員について、人事権、懲戒・分限権、指揮・監督権を学校が有することが必要であり、そのためには、教員は当該学校に直接に雇用される者であることが一般的である。
<請負契約の性質>
◆請負契約の性質上、大学から当該外部講師に対して指揮命令をすることはできないことに留意することが必要。
◆請負契約の性質上、事前に大学側が企業に対して個別的・具体的に希望する外部講師を指定することは不可能であることに留意することが必要。
→これらのことから、一般的には、請負契約による講師は、学長の権限と責任の下において、自ら授業を行うことが困難であり、その役割は、授業を行う教員を補助する業務に限定される可能性が高い。


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