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2007年7月13日

横浜市立大学、教員有志の質問状に対する学長回答 「教授会で人事を審議しないのは学校教育法の規定からして合法」

大学改革日誌
 ∟●最新日誌(7月12日)
 ∟●学長回答(2007年7月11日)

7月12日 6月27日提出の質問状への学長の回答(7月11日付)が、今朝、ボックスに入っていた。予想よりも速やかな回答時期に関しては、喜びたい。しかし、実質的内容はまったくないに等しい。

 教授会で人事を審議しないのは、学校教育法の規定からして、合法だという。
 それでは、かつての学則や教授会規定はなんだったのか? 大学自治の基本に、人事があるというのは、憲法のスタンダードな規範的理解である。(芦部『憲法』
 学校教育法に「人事」がないからといって、教授会・大学(評議会)に人事の自治的決定権がなくていいというのか?その憲法的保障は無視していいのか?

 「オンリーワン」の本学は別として、日本全国、そして今回確認したドイツでも、教授会が人事案件の審議において決定的に重要な役割を担っている(責任と権限)。それこそが大学自治において、学問の自由において決定的な意味を持つからである。そうした根本問題には何も答えようとしない。今回の学長回答が適正なものであれば、日本全国のほとんどの大学は、必要もない審議を教授会でやっていることになる。全国の教授会・大学(評議会)を愚弄するものではないか?

 言葉だけは、「大学の自治に配慮する」としている。それ子をわれわれ教員有志も、教員組合も求めている。
 回答は、「公平性・透明性・客観性を保つため学長の下に人事委員会を置き審議している」という。
 しかし、まさに、その人事委員会の審議が、透明でなく、客観的でなく(客観的説明責任を果たして折らず、その客観的説明のための各種資料が公開されていない)ということ,その疑念について具体的にいろいろと問題点を指摘し,質問している。
 かつてなら教授会で公開されていた資料さえ、まったく出されていないのではないか、作成されてさえいないのではないか、審査の手順が大学の自治の原則に反している、教授会(少なくとも代議員会)の意向をたずねることすらしていないではないか、といった点が、この間の教員有志や教育組合の質問の要点である。

 審査の公正性というが、教育研究審議会のメンバーはどのようにして選ばれたのか? 誰が選んだのか?
 そのメンバーに関して、どこに自治的な選出の手順、選出規則、その他があったのか?

 質問の要点をそらし、制度の表面的な文言だけを並べているに過ぎない、と感じる。
 多くの教員は、とりわけ、若手教員は、今回の回答に納得するだろうか?明確な説明なしに、4月昇任を拒否されている教員たちは、この回答をどうみるか?
 諦観か?

 10年以上にわたる旧学部での昇任審査を見ながら、業績をつんできて、突然、理科系基準の画一的適用で厳しくなるのは不当である。(文科系、特に文学系で博士号を持たないのは今なお圧倒的多数だが、理科系は逆に博士郷を持たない教員のほうが例外であろう、専攻による違いはどのように判定されたのか?)
 その点は、今回の回答でも「経過措置」をとることに関連して言及がある。不昇任の場合、この「経過措置」はどのように判断基準に組み込まれたのか?

 次の質問状を考えていかなければならないだろう。


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