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2007年8月29日

教科書検定、記述回復求め陳情書 練馬区議会に提出

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-26649-storytopic-1.html

 高校歴史教科書検定で、沖縄戦の「集団自決」の記述から日本軍の関与が修正・削除された問題で、東京都練馬区議会の9月定例会で「日本軍関与に関する記述の回復」を求める意見書を採択し、文部科学省に提出するよう求める陳情書が27日、提出された。陳情書には175人の署名が付された。......

東京「日の丸・君が代」強制反対裁判をすすめる会より

高校歴史教科書の沖縄戦「集団自決」への日本軍関与に関する記述の回復について

2007年8月  日
代表者
住所  氏名
ほか  人

練馬区議会議長 関口 和雄 殿

要旨

1.文部科学省が2007年3月30日に公表した2006年度の高校教科書検定で、沖縄戦において発生した住民の「集団自決」の記述について、日本軍による命令・強制・誘導等の表現を修正・削除させたことに対して、同記述の回復が速やかに行なわれるよう、文科省に意見書を提出してください。

理由

 太平洋戦争末期、本土決戦を目前にした沖縄戦は熾烈を極め、上陸する米軍を前に、日本軍(第32軍)は「軍官民共生共死」方針をとり、住民の多くを戦争に動員し、捕虜になることを許さず、あらかじめ手榴弾を渡し、「いざとなれば自決せよ」などと指示していたことは、あの戦争を体験している世代にも、体験していない世代にも、よく知られた事実です。とりわけ海上特攻の基地とされた慶良間列島においては、住民は秘密の壕建設などに動員されたため、軍の厳しい監視下におかれ、島から出て疎開することも許されない状態の中で1945年3月末米軍の空爆と上陸がなされ、あらかじめ日本軍が指示・誘導していたように住民たちが「玉砕(自決)」したものです。渡嘉敷島では300名余、座間味島では100名余の住民(ほとんどが女性、老人、子ども)が阿鼻叫喚の中で亡くなりました。

 家族が最も愛する家族を手にかけて殺すという悲劇が、日本軍の命令・強制・誘導等なしに起こりえなかったことは、これまで生き残った住民たちの証言などから明らかな事実です。それに対して、06年度の文科省の教科書検定は「日本軍の関与」がまったくなかったかのように修正・削除させました。

 この検定への怒りと抗議が、沖縄ではまさに「島ぐるみ」の声として上がっています。県知事は「修正・削除は遺憾」と意思表明、沖縄県議会および沖縄県全41市町村議会のすべてで検定撤回の「意見書」が採択され、既に文科省に提出されています。こうした沖縄からの要請に対する文科省の不誠実な対応に、沖縄ではさらに怒りが強まり、沖縄県議会では異例ともいえる再度の「意見書」採択も行われるという事態になっています。

 私たちは、次代を担う若者たちが、国際的な視野に立って、過去の不幸な事実を自らの国の引き受けるべき現実として受け止め、真摯な反省と、二度と過ちを繰り返さない強い意志を持った人格として、健全に育つことを願う立場から、事実を事実として教育される機会を奪われることを憂慮するものです。

 貴議会におかれましても、高校歴史教科書の、沖縄「集団自決」についての記述を、従来通りの記述に戻すことを求める意見書を文科省に提出していただきたく、陳情いたします。


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