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2007年10月15日

北陸大学、6年制薬学部担当外し問題 中労委の和解協議持ち越し

北陸大学教職員組合
 ∟●ニュース、第255号

中労委の和解協議持ち越し

 10月2日、第2回中央労働委員会審査が10時に開始された。この日の予定は午前中に当該3名の教員を6年制薬学部に復帰させることを前提とした和解協議、これが不調の場合は、午後には双方から申請された証人に対する審問を行うことになっていた(組合ニュース第252号)。審問は、法人側河島学長、組合側荒川講師、田端講師、佐倉教授に対して双方各1時間ずつの主尋問と反対尋問、合計4時間の予定であった。しかし、中労委審査委員長は、この日和解に強い意欲を示された。法人側への説明は知る由もないが、組合側に対しては、争いがこのまま続けば、決着を見るまでに相当な時間を費やされ、仮に組合側が最終的に勝ったとしても研究者として致命的な損失を蒙りかねないことを危惧されての和解勧告であった。

 中労委の方々は、ほとんど昼食をとる間もないほどに交互に双方の意見を聴取し、午後の審問予定を変更して斡旋に努力された。もともと、法人理事会が石川県労働委員会の命令を不服として再審査を申し立てた事件なので、双方の主張は石川県労委での主張がそのまま持ち越され、根本的な違いがあった。しかし、中労委各委員は、当事者の帰路の便の都合により18時までに限られた時間で、原則主張よりも和解を重視し、ある時は委員がそれぞれの控え室に出向き、ある時は片方ずつ当事者を委員会室に呼び、精力的に現実的な理を説かれた。少ずつ形ができあがっていく和解案から、薬学部3教員を6年制薬学部教員として取り扱うことを基調とする和解合意に向けての苦心の跡が窺えた。しかし、当初の主張の根本的隔たりを考えれば、約8時間の斡旋作業時間はまだまだ不足であり、結論は次回審査日まで持ち越されることになった。具体的な内容は和解斡旋作業の途中なので公開が憚れるが、いずれにしても組合側としては、石川県労委における成果、および県労委各位の努力に対する感謝の念からも、新たな紛争が発生し得るような、曖昧な部分の残る和解は避けなければならないと考えている。

 中労委は、10月2日の調査日以後も引き続き早期解決に努力を傾注してくれているが、和解が成立するかどうか予断は許されない。次回審査(和解協議)は目下調整中で早ければ11月上旬に開かれる。

私大教連加盟教職組、法人理事会に
石川県労働委員会命令履行を要請

 去る9月27日、日本私大教連の書記局次長三宅氏が金沢市を訪れ、市内のホテルロビーで私大教連加盟、地区私大教連および教職員組合からの北陸大学理事会宛て要請書を大学法人役員へ手渡した。数日前、三宅氏は理事長または労務担当役員との面会を申し入れたが、他に予定があるとのことで、面会はかなわなかった。ところで、それだけでなく、理事会は同氏の大学訪問も断った。組合の問い合わせに対し、法人担当者は理由を明らかにしなかった。要請書を手渡す際に、三宅氏は、「私立大学をめぐる厳しい環境の下、教職員の英知を結集し、経営と教学、労使が共に大学づくり・大学改革に向かえるよう心を砕くべきところ、徒に争いを長引かせ、さらに不当労働行為を積み重ねることは、大学の存続さえも危うくする愚行に他なりません」と強調した。

 石川県労働委員会の履行命令を要請して下さった地区私大教連および教職員組合と要請書の文面は以下の通りです(順不同)。

 北陸大学の不当労働行為事件に対し、関心と友情を持って石川県労働委員会命令履行の要請を行って下さったことに、北陸大学教職員組合は心からお礼を申し上げます。

 東京地区私大教連、茨城キリスト教大学教職組、明海大学教職組、杏林学園教職組、城西大学教職組、大東文化大学教職組、拓殖大学教職組、東京家政学院中高教組、東京家政学院教職組連合、東京家政学院短大教組、東京経済大学教職組、獨協大学教職組、上智学院教職組、中央大学教組、早稲田大学教組、早稲田大学職組、山脇学園教職組短大部、明海大学職組坂戸支部、法政大学教職組市ヶ谷支部、法政大学教職組多摩支部、法政大学教職組小金井支部、法政大学職組女子高支部、法政大学教職組小金井支部教員部、法政大学教職組教員支部、法政大学教職組、明治薬科大学教職組、桜美林学園教職組、日本大学教職組鶴ヶ丘支部、日本大学教職組経済学部支部、日本大学教職組豊山支部、日本大学明誠高校教職組、湘南工科大学教職組、相模女子大教職組、山村学園短大教職組、東邦大学教職組、東京女子大教職組執行委員会、東京立正短大教職組、東海地区私大教連、愛知大教職組、桜花学園教職組、名城大学教職組、中京女子大学教職組、同朋学園大学教職組、中日本自動車短大教職組、鈴鹿医療大学教職組、名古屋自由学院教職組、京滋地区私大教連、立命館大学教職組、同志社教職組連合、龍谷大学教職組、京都学園大学教職組、京都産業大学教職組、関西外国語大学教組、大阪経済法科大学教職組、明浄熊取教職組、関西学園大学非常勤講師組合、高梁学園教職組、徳島文理大教職組、山口県私立学校教職組連合、久留米大学教職組、福岡工業大学教職組、長崎総合科学大学教職組、全福原学園教職組、久留米工業大学教職組、九州産業大学教職組

学校法人北陸大 学 理事長 北元 喜朗 殿

不当労働行為に抗議し、石川県労働委員会命令の遵守を求める要請書

 貴理事会が、6年制薬学部移行に際して、北陸大学教職員組合の組合員である薬学部の佐倉直樹教授、田端淑矩講師、荒川靖講師の3氏を6年制薬学部に移行にさせず授業担当から除外し、また、佐倉、荒川の両氏を大学院の担当から除外した不当労働行為事件について、石川県労働委員会(以下「県労委」)は、平成19年4月24日、組合側の主張を全面的に認める救済命令を交付しました。

 石川県労働委員会は命令において、貴理事会が提出した膨大な書面と河島学長の証言を通じてなされた貴理事会の主張をことごとく斥け、上記の3氏に対する理事会の行為が、組合結成以来、組合を嫌悪し、組合員たる3名を差別しようとの不当労働行為意思を持ってなされたものであり、これらが教職員に対する見せしめ的な行為として組合の団結権を侵害する不当労働行為であったと認定し、2006(平成18)年4月に遡って3氏を6年制薬学部の教員であったものとして取り扱い、大学院担当から外した2氏についても大学院担当であったものとして取り扱うよう命じました。

 命令で明らかなとおり、組合に対する敵視・嫌悪の情から、このような不当労働行為を行うことは到底許されることではありません。しかし、貴理事会は県労委命令に服さず中央労働委員会(以下「中労委」)に再審査を申し立てました。いたずらに本件を長引かせ、また解雇を含む不当労働行為を重ねることは、大学を荒廃させる愚行以外のなにものでもありません。

 私たちは、貴理事会の不当労働行為に対し強く抗議するとともに、私立大学をえぐる厳しい状況下、貴理事会が一刻も早く正常な労使関係を構築するよう姿勢を改め、以下の3点について速やかに実施することを強く要請します。

1. 県労委命令を遵守し、中労委への再審査申立を取り下げること。
2. 佐倉教授、田端講師、荒川講師を6年制薬学部担当教員として取り扱い、6年制薬学部の授業を担当させること。
3. 佐倉教授、荒川講師を大学院担当教員として取り扱い、大学院の教育と研究を担当せること。

  2007年  月  日
      団体名                        
                印
      代表者 

                       

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