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2007年11月 6日

北陸大学不当解雇事件、解雇撤回訴訟金沢地裁へ提訴

北陸大学教職員組合
 ∟●組合ニュース第257号

解雇撤回訴訟金沢地裁へ提訴

 田村・ライヒェルト両氏の地位保全等申し立てに関しては、去る8月11日に金沢地裁の決定が下されました。その後、申立人代理人(北陸大学教職員組合顧問弁護士)はかねてより本訴の準備に取り組んでいましたが、それも整い、10月19日に大学法人北陸大学(代表北元理事長)を被告として同地裁へ訴えを起こしました。事件名は「雇用契約上の地位確認等請求事件」となっています。訴状はA4版89ページ、証拠書類は積み上げの高さが約15 cm、証拠説明書だけでも47ページに及ぶ労作です。いよいよ本訴の開始です。「請求の趣旨は雇用契約上の権利を有する地位にあることを確認する」ことと、給与及び賞与の支払いです。その他に不法な解雇事件により被った被害に対する慰謝料も請求します。法廷では、本件解雇が解雇権乱用及び不当労働行為(労働組合法第7条第1項及び第3項)に該当し、不法行為であることを訴えます。不当労働行為については、合理的理由を欠く本件解雇が組合に対する敵視に由来するものと認められるからです。これらの主張は仮処分の時と同じですが、地位保全等の仮処分を決定した論理構成からすれば、私たちは、裁判所が原告の主張に十分耳を傾けてくれるものと確信しています。原告組合員二人は、将来の不安と闘いながら、引き続き裁判を通じ自分たちを悲運に導いた力と対決していきます。

 組合も損害賠償請求訴訟

 今回の訴訟では、北陸大学教職組も原告になります。教職組は、自らの団体交渉にかかわる損害賠償を請求します。教職員組合は、組合員二人の不当解雇撤回裁判だけでなく、薬学部における不当労働行為に関して労働委員会を舞台に大学理事会と対決しています。石川県労働委員会からは今年4月に全面的に教職組の主張を認める命令が出されました。しかし、残念ながら、その後不当労働行為の改善につながっていません。給与・賞与交渉をはじめとする必須の労使交渉においてもまったくの組合無視が続いています。本学では、平成13年以降年令給以外は昇給が据え置かれ、他大学との比較だけでなく、本学でも同一年令を比較すると、給与は数年前よりかなり下降しました。しかし、昇給も賞与も平成13年以降実質交渉なしで組合要求は拒否し続けられ、このままの状態では、今後も理事会が昇給・賞与交渉に応じる見通しがたたず、組合の存在理由がなくなります。教職組は、本訴で最近の3年間の賞与交渉の実態が団体交渉義務違反行為に該当し、不法行為であることを訴えます。また、薬学部の事例から考えると、解雇撤回請求裁判に勝利しても、原告二人に対する差別が陰湿に継続する恐れがあり、この意味でも法廷闘争を通じて組合が一致団結し、自らを強化する必要があります。ここに、今回は労働委員会において救済命令を求めるのではなく、教職組が自ら原告となって裁判に踏み切った理由があります。教職組の訴訟は、具体的には最近3年間の賞与交渉拒否によって生じた損害賠償請求の形をとっています。解雇撤回訴訟と組合の損害賠償請求訴訟は形式上一つの裁判になります。
 なお、「田村・ライヒェルトを支援する会」は、現在裁判支援を行うとともに、会員の皆さまの協力を得て「解雇撤回要求」の賛同者を募っています。北陸大学の同僚諸氏、北陸大学の元教員の方、「支援する会」会員の身近な方など、多方面から賛同の署名が寄せられています。過日の世話人会では、さらに署名を拡大し、12月初め頃に要求書を手渡すことが申し合わされました。教職組も「支援する会」と連携し、引き続き2氏に対する支援活動を呼びかけていきます。皆さまの温かいご支援をお願いいたします。

臨時総会で訴訟を決定 -臨時総会報告-

 臨時総会は、9月25日に開催された。議長選出に続き議事に入り、先ず、書記長から8月に金沢地裁から出された仮処分決定について争点(整理解雇の合理性)と地裁決定(その否定)の意義が報告説明された。引き続き執行委員長から、今後の裁判の予定として、田村、ライヒェルト両組合員は近々解雇無効確認請求の本訴を起こすこと、その中で不当な解雇通知によって生じた様々な損失に対して慰謝料も請求する予定であることが報告された。
 この解雇撤回訴訟においては、薬学部における担当外し同様、組合嫌悪に基づく不当労働行為(団結権侵害)も重要な争点になる。それと関連して、開催案内議案が協議された。
 執行委員長から、議案説明として、最近数年の給与・賞与交渉報告、平成13年以降年令給以外は昇給が据え置かれ、他大学との比較だけでなく、本学でも同一年令時を比較すると、数年前と比べて給与がかなり下降したこと、しかし、昇給も賞与も平成13年以来実質交渉なしで組合要求は拒否し続けられてきたこと(団体交渉権侵害)、今後も昇給・賞与交渉の見通しがたたないことが報告された。続いて、このような団体交渉の行き詰まりの打開策として、組合員2名の解雇無効確認訴訟の際に組合も原告となり、団体交渉権侵害の不当労働行為による損失に対して損害賠償請求の訴訟を起こすことが提案された。それに対し出席組合員が真剣に協議した結果、賛成多数で執行委員会提案が可決された。

<組合員へのお願い>
ここで組合員の皆さまにお願いがあります。訴訟には、弁護費用等かなりの出費が予想されます。今春の定期総会で、2組合員の訴訟に対する支援を予算化しましたが、今回は、これまで組合が積み立ててきた裁判準備金をかなり取り崩すことになると思います。しかし、将来を考えると、一定額の準備金はどうしても残しておかなければなりません。働く環境及び生活の向上のためだけでなく、今回のような不幸な事態に即応できなければならないからです。申すまでもなく、組合は組合費だけが頼りです。組合の闘争力を強化するために、組合の現状をご理解の上組合費完納にご協力をお願い致します。

<訂正> 下の3件の誤記を訂正し,お詫びいたします。
①「組合ニュース」245号(2007年3月30日発行)の2007年度新執行委員決定を報じる記事の中で,「委員長 林 敬」とすべきところを「書記長 林 敬」と誤記していました.
②「組合ニュース」255号(2007年10月9日発行)の,私大教連,及び,加盟教職組が法人理事会に対して石川県労働委員会の命令履行を要請したことを報じる記事の中で,「関西圏大学非常勤講師組合」と表記すべきところを「関西学園大学非常勤講師組合」と誤記していました。
③同上ニュースに転載した学校法人北陸大学理事長北元喜朗宛の「不当労働行為に抗議し、石川県労働委員会命令の遵守を求める要請書」の文中で,「私立大学をめぐる」とすべきところを「私立大学をえぐる」と誤記していました。


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