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2007年11月26日

横浜市立大学の任期制強制システム、人事(昇任)問題を武器とする思想・信条・精神活動の抑圧行為

大学改革日誌
 ∟●最新日誌(11月23日)

11月23日 最近よく耳にするようになったのは、医学部においては教授会自治が復活し、機能しているということである。その実態をつまびらかにしないが、おいおいに情報が入ってくることになろう。

 ともあれ、国際総合科学部の人事においては、最近の「学長文書」でも明らかになったように、学長・学部長・研究科長が任期制を強制するシステムの担い手(意思確認の圧力行使主体)になり、昇任対象教員(自己申告する教員)の任期制同意の確認状況を踏まえる役目を負わされているということである。その学長文書がそのまま行使されれば、学長は副理事長として経営サイドの人間でもあるが、教学サイドの管理職を、昇任審査に入るかどうかの前提として任期制への同意状況を確認する仕事に組み込んでいるのである。

 学長文書が示すように、任期制に同意した(することを約束した)教員しか、昇任審査の人事委員会にかけないということは、今までにない事前の公然たる任期制強制システムであり、身分継承教員・定年までの身分保障を継承した教員への不当差別・不当労働行為を学長・学部長・研究科長が分担して行使することになる。教員組合が、ただちに、意見書で、重大問題だとして批判し、撤回を求めたのは当然である。

 昇任審査は、その教員の教育・研究・社会貢献等の実績の総合評価で行うべきであり、労働契約の条件である任期の有無とは関係なく行うべきである。それが、法人化以前のやり方であり、今なお全国ほとんどの大学で行われていることである。

 任期制の内容、任期制を適用する法人サイドへの信頼感がないとき(信頼できない人々にとって)、その任期制への同意不同意を昇任の判断基準とするのは、教育・研究・社会貢献の業績を正当に評価しないことに繋がる。

 任期制に同意する教員は、あまりにも法人サイドを信頼しているか、法人サイドに信頼されているか、いずれにしろ「当局寄り」の人々、ということになり、そうした経営サイドに協力する教員だけが、教育・研究・社会貢献等のしかるべき業績なしか相対的低水準であっても、当局に対して従順(「任期制同意」、任期制に危険性を感じない、etc.)だから昇任できるということになる。これは、処遇条件の中でも最も重要な問題、すなわち、人事(昇任)問題を武器とする思想・信条・精神活動の抑圧行為ないし、それに繋がる。重大問題であることは明らかであり、撤回させなければならない。

 任期制不同意教員は、教員組合に結集し、有期契約に反対してきたのであり、大学自治破壊の改革過程の諸問題、これまでの当局のやり方、さらに、つい最近もみられた不当労働行為(労使対等の粘り強い交渉結果としての合意書が出たそのすぐ後で、合意書内容を否定するような評価システムを平気で提案するような法人サイドの態度)を批判する人々であり、大学自治の重要性を認識し、守ろうとする人々であり、その教育・研究・社会貢献等の業績は、ピアレビューできちんと評価するべきものだと考えているような人々である。

 もし学長文書がいうように「任期制への同意状況等も判断に加味」して、学長が「人事委員会に審査を依頼」すれば、事実上、文科系の圧倒的教員(任期制に同意していない教員が多数を占めるから)は、昇任審査において業績審査に入る前,すなわち、事前に、差別される、排除されるということになる。

 学長文書を書いたのは誰か?・・・学長責任であるのはもちろんだが、かなり問題のある日本語公文書を書いたのは学長ではないのではないか、とうわさされている。検証が必要!

 このシステムを推進するのは、誰か?・・・誰がこのシステムを推進しようとしているか注意深く観察せよ!
 このシステムによって利益を得るのは誰か?・・・・誰が、任期制に同意したことによって昇任したか、注意深く検証せよ!
 任期制同意によって昇任を勝ち得た人はどのような人か?
 今回のような学長文書を作成したひと、同意する人、推進する人は、どのような人か?・・・誰が推進しているか、注意深く観察せよ!

 推進者は、任期制に同意することによって、きびしい業績審査をクリアしないでも、昇任できた人々ではないか?
 厳しい業績審査をクリアし得ない人々が、任期制への同意によって、昇任しようとするのではないか?
 任期制への同意がハードルとしてあれば、競争相手が少なくなり(場合によっては、分野により、同意者一人なら競争相手がいなくなり)、それだけ、教育・研究・社会貢献の業績のハードルは、低くなる。それだけ、自分の昇任が早くなる?

 その結果、任期制への同意・不同意のハードルが業績審査の前にあることによって、相対的に低い業績のものが優先的に昇任審査を受けられることになれば、本学の教育・研究・社会貢献の諸力は、確実に、長期的に低下していくのではないか?

 自然科学系では任期制への同意者の割合が多い。しかし、それは、実は、日本の科学技術研究に深刻な破壊的な影響をもたらしかねない。信頼できる知人から頂戴した下記情報を引用しておこう。…


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