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2007年12月11日

文科省、特区評価の動向について

■高等教育政策情報、第17号(2007/12/7)

2.特区評価の動向について~文部科学省の調査結果を発表~

 (高等教育企画課法規係、大学振興課法規係、専門教育課企画係)

 12月3日の中央教育審議会大学分科会制度・教育部会において、文部科学省に係る高等教育段階の特例措置について、以下の通り文部科学省の調査結果が報告されました。
 これらの調査結果については、構造改革特別区域推進本部評価・調査委員会において検討され、特例措置の全国展開の可否について年度内に評価結果が決定される見通しです(以下のカッコ内の番号は各特例措置に付されている番号です)。

【811「校地面積基準の引き下げによる大学設置事業」について】
 本特例は、通常必要な校地の面積よりも少ない面積での大学の設置を認めるものです。特例措置を使用した実施主体は1大学のみであり、調査の結果、
 ○当該大学は、キャンパスを拡大したため、現在は特例を受けなくとも校地面積基準を満たしているため、事実上、本特例を受けている事業者が無い
 ○当該大学は、完成年度を迎えておらず、全学年に定員相当の学生を受け入れた状態になっていないなどから、今回の評価で弊害の有無等を判断することは困難であるとして、来年度以降に再度弊害調査を行うべきとしました。

【828「運動場に係る要件の弾力化による大学設置事業」について】
 本特例は、運動場を設けていなくとも大学の設置を認めるものです。調査の結果、
 ○特例措置を使用した実施主体は、運動場用地をすでに確保していたり、今年度開学したばかりであるなどから、今回の評価で弊害の有無等を判断することは困難であるとして、来年度以降に再度弊害調査を行うべきとしました。

【829「空地に係る要件の弾力化による大学設置事業」について】
 本特例は、校地の中に学生が休息その他に自由に利用できるよう適当な敷地を設けていなくとも大学の設置を認めるものです。調査の結果、
 ○特例措置を使用した実施主体は、いずれの大学も完成年度を迎えていないか、迎えていても定員充足率も極めて低く、全学年に定員相当の学生を受け入れた状態となっていない
 などから、今回の評価で弊害の有無等を判断することは困難であるとして、来年度以降に再度弊害調査を行うべきとしました。

【816「学校設置会社による学校設置事業」について】
 本特例は、株式会社に学校の設置主体となることを認めるものです。調査の結果、
 ○殆どの大学では未だ卒業生を輩出していない
 ○殆どの認定地方公共団体が、全国化について引き続き検証する必要があると考えている
 ○また、株式会社としての運営を断念し、学校法人化を選択した大学や、多くの地方キャンパスで学生募集の停止・閉鎖を決定した大学なども出てきている
 などから、今回の評価で弊害の有無等を判断することは困難であるとして、来年度以降に再度弊害調査を行うべきとしました。

【832「インターネット等のみを用いて授業を行う大学における校舎等施設に係る要件の弾力化による大学設置事業」について】
 本特例は、インターネット等の高度情報通信ネットワークのみを利用して授業を行うことを条件に校舎面積基準等の適用を緩和するものです。調査の結果、
 ○ 特例措置を唯一利用している大学は平成19年4月に開校したばかりであり、完成年度を迎えていない
 などから、今回の評価で弊害の有無等を判断することは困難であるとして、来年度以降に再度弊害調査を行うべきとしました。


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