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2007年12月28日

横浜市立大学教員組合、昇任人事等における任期制の強要は違法行為である

横浜市立大学教員組合
 ∟●教員組合週報、2007.12.25
大学改革日誌
 ∟●最新日誌(12月25日(2))

団交要求書を出しました

 この間、大きな問題となっている、昇任人事と任期制、職務業績給の平均的アップ、教員評価のあり方に関して、団体交渉を求める文書を、本日当局に提出しました。
 その要求書の全文を次に紹介いたします。
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理事長 宝田良一殿
学長 ブルース・ストロナク 殿
副理事長 松浦敬紀殿

2007年12月25日
横浜市立大学教員組合
執行委員長 永岑三千輝                           

団体交渉要求書

 教員組合は、教員の教育・研究条件の向上を図るとともに、教育現場から本学の真の改革を目指すべく引き続き取り組んできているが、この間重大な問題となっている昇任人事と任期制、職務業績給の平均的アップ、教員評価のあり方に関して、問題の重要性および緊急性に鑑み、2008年1月中旬までに以下の事項について団体交渉を開催することを要求する。

Ⅰ.昇任人事等における任期制の強要について。

1.学長名による昇任に関する文書(「教授・准教授及び助教昇任候補者の推薦について」(平成19年11月14日付))では、昇任候補対象者について、教員中間管理職に「候補者の推薦にあたっては、任期制への同意状況等を確認」させ、また「学長から人事委員会への諮問にあたり、任期制への同意状況等も判断に加味した上で、審査を依頼」すると記しているが、昇任審査の際に、任期制同意が前提条件ではなかった法人化以前の大学から身分を継承している教員に対して、このような変更が不利益変更でないというなら、それを立証できる法令あるいは文部科学省通達などの法的論拠を示せ。

2.その上で、学長はなぜ、このような平成19年11月14日付文書を出したのか、また2007年4月の昇任人事についても、6月4日付の教員組合からの昇任人事に関する14項目の質問状に真摯に回答することなく、さらには何ら詳細な審査報告書を提示しえず、かつその総頁数、総文字数すらも示すことなく、学則(第63条3項)をも無視した手続きによって新たな人事を行うことが、いかなる根拠によって正当化できるのかを、団体交渉の場で明確に説明せよ。学長の団体交渉への出席を要求する。

3.任期制への同意を昇任の前提条件とすることは不当なものであると、すでに教員組合は意見書(11月19日付)で指摘しているところであるが、法人化以前からの身分を継承している教員に対して、昇任審査にあたって任期制同意を前提条件とすることは、不利益変更措置であり、違法行為である。学長は平成19年11月14日付文書を撤回せよ。

4.教員管理職人事にあっても、任期制への同意を強制することは許されない。当局が仮に任期同意を求めるとすれば、それは不利益変更措置に他ならない。大学における教員中間管理職は、一般的に定年まで管理職を続けるわけでなく、管理職の職務終了にともなって通常の教員に戻るものである。教員管理職人事にあたっても任期制への同意を条件とすることがないことを明確に確約せよ。

Ⅱ.職務業績給の平均的・恒常的アップの要求について。

  2007年3月16日の新給与制度導入に際して労使間で締結した「合意書」において、当局はすみやかに職務業績給の適用に関して提案を行うとしているが、その後の事務折衝で組合が提示した要求、さらに文書による組合から提出した要求(「職務業績給に関する要求」(2007年11月29日))を無視し、当局は年末にいたるまで職務業績給アップにかんして、何らの具体的な提案をしようとしない。当局のこのような態度は誠実な労使関係の構築を著しく妨げるものである。そもそも法人化以降、法人化前の大学において行われていた定期的昇給に相当する額の昇給、約束した職務業績給の平均的・恒常的アップを果たさないことは、労使関係上、許されざる背信的行為に当たることを充分認識し、具体案を早急に提示せよ。

Ⅲ.教員評価制度に関して。

 当局は、現在のSDシートによる、いわゆる「教員評価」を、教員の納得が得られるまで処遇に反映させないと2006年11月30日の団体交渉で約束した(「処遇への反映は、教員の理解が得られてからになる。」(当局側回答)、「処遇への反映は教員組合との協議事項だ。教員組合との協議を経てという意味だ。」(当局側発言))。しかるに現在のSDシートは、さまざまの重大な問題をはらんでおり、いまだ処遇に反映することが可能なシステムとはなっていない。

 よりよい教員評価制度を構築し、横浜市立大学を社会が必要とする大学、また透明性が高い、社会に認められる大学にしていくのであれば、組合の質問に対する学長の不誠実な文書対応(「19年度組織目標提示ついての質問状に対する回答」(5月10日付)、表題なしの回答書(5月22日付)、表題なしの回答書(6月7日付))を充分自省し、18年度教員評価試行における問題点を洗い出し総括するとともに、それがいかに19年度評価シートに反映されたのか、また今年度の新たな問題点は何かを明確に示すことが必要である。労使間で積み上げてきたこれまでの合意を無視して独善的かつ欺瞞的な案を提示し、評価制度を一方的に処遇に反映させるなどということは、これまで築き上げてきた健全な労使関係、信頼関係を著しく損なうものである。今後の、教員の処遇そのものにつながりうる教員評価制度のあり方に関して、教員組合と真摯に協議を行っていくことを改めて確約せよ。

以上


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