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2008年1月16日

国立大の運営費交付金が大幅減 競争的資金は増加 08年度政府予算案

■朝日新聞(2008/01/14)

 08年度の政府予算案がこのほど決まった。高等教育関係では、減額に歯止めがかかるかどうかが焦点となっていた国立大の運営費交付金が、前年度比約230億円減の1兆1813億円と、大幅な減額になった。
 運営費交付金は、「骨太の方針06」にもとづき毎年1%ずつ減らされている。だが、文科省は昨夏の08年度予算の概算要求で、07年度より270億円の増額を求めた。1%分120億円の減額を受け入れたうえで、「骨太の方針07」の提言に対応した、9月入学の促進や教職員の資質向上の支援などの「特殊要因」の分を要求したのだ。
 しかし、結果は厳しかった。減額は120億円にとどまらず、教職員の退職者数が07年度よりも減る分としてさらに235億円減らされた。
 特殊要因は「9月入学」7億円、「教職員の資質向上」40億円など計125億円分認められたが、同省のある幹部は「教育再生会議など政府の各会議があれだけ交付金に言及しながらこの結果。徒労感だけが残った」。
 今回の予算で同省が高等教育関係でもっとも力を入れたのは、地方の医師不足対策の事業だ。最近の大学病院は、病院収入の増加をめざして診療に力を入れるあまり、教育機能が低下したと指摘されている。このため複数の大学病院や地元病院が連携して研修などの仕組みを整え、若手医師の地方への定着につなげるのが狙いだ。100億円の要求に対し15億円が認められ、担当者は「わずかにでも芽が出たことは大きい」と評価する。
 このほか格差対策として、学生支援機構の奨学金への支出が07年度より85億円増額された。有利子の奨学金を受けられる学生は、07年度より7万4千人多い75万人に増える。国際的に卓越した研究教育拠点を重点的に支援するグローバルCOEプログラムや、質の高い大学教育推進プログラムなどの競争的資金には、多額の予算が付いた。国公私立の複数の大学による戦略的な連携を支援する予算も、新規で30億円が認められた。

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