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2008年2月 5日

平成18年度決算集計からみた大学・短期大学・高等学校の財務状況

日本私立学校振興・共済事業団
 ∟●『月報私学』2月号(No.122, 2008)

平成18年度決算集計からみた大学・短期大学・高等学校の財務状況

 平成十九年十二月に私学事業団では、平成十九年度版「今日の私学財政」を刊行しました。その集計結果をもとに、十八歳人口のピークであった四年度から十八年度までの財務状況の分析をします。近年少子化が進む中、私立大学、短期大学及び高等学校の財務悪化は深刻化しており、今回は帰属収支差額比率を用いて分析しました。
 本事業団では、これまで二九種類の財務比率を紹介してきましたが、財務分析をする際には、特に次の四つの点を重視しています。第一に帰属収支差額比率、第二に金融資産の保有額、第三に長期・短期の借入金の額、第四に建物の建替え時期を考慮に入れて判断します。私たち個人の家計の状況を振り返っても、まずひと月の家計の収支が黒字か、赤字か、次に銀行預金などがいくらあるか、それから借金がどのくらいあるか、それに住居の建替え時期がいつ頃くるか、この四点をつかめば、家庭の財務状況が大体わかります。学校法人の財務もそれと大体同じだと思われます。
 今回ご紹介する帰属収支差額比率とは、帰属収入から消費支出を差し引いた帰属収支差額の帰属収入に対する割合です。この比率がプラスで大きくなるほど自己資本は充実され、一方、マイナスになる場合は、自己資本を取崩すことになり、経営が逼迫し、マイナスの幅が大きくなれば、資金繰りにも困難をきたすことになります。この比率は、学校法人の収支状況を最も端的に表す数値であり、本事業団では最も重視している比率の一つです。

一.法人別の財務状況
(一)法人別の帰属収支差額比率の推移
 表1によると、大学法人は、四年度では一五・六%だったものが年々悪化していき、十八年度には六・六%まで落ちこんでいます。短大法人の財務悪化のスピードはさらに速く、二六・〇%から三・一%まで落ち込んでしまいました。高校法人においても一五・七%から二・一%となっており、大学法人や短大法人よりむしろ厳しい財務状況にあることがわかります。
 帰属収支差額が新たな施設設備の購入や借入金返済の財源になることを考えると、一〇%から一五%程度の黒字は必要だと考えられます。したがって、私学の財務運営は、かつてない厳しい時代に突入したといえるでしょう。・・・・


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