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2008年2月12日

東京都君が代嘱託採用拒否事件原告団・弁護団、声明

被処分者の会
 ∟●東京都君が代嘱託採用拒否事件原告団・弁護団「声明」
 ∟●2008.2.7嘱託不採用裁判1審判決要旨

声明


1 本日、東京地方裁判所民事第19部(中西茂裁判長)は、都立高校の教職員13名が卒業式等の国歌斉唱時に校長の職務命令に従わずに起立しなかったことのみを理由に、定年等退職後の再雇用職員(嘱託)としての採用を拒否された事件(東京都君が代嘱託採用拒否事件)について、教職員らの訴えを認め、東京都に対し、合計金2757万1000円の賠償を命ずる判決を言い渡した。
2 本件は、東京都教育委員会(都教委)が2003年10月23日付けで全都立学校の校長らに通達を発し(10.23通達)、卒業式・入学式等において国歌斉唱時に教職員らが指定された席で国旗に向かって起立し、国歌を斉唱すること等を徹底するよう命じて、「日の丸・君が代」の強制を進める中で起きた事件である。
 都立高校では、10.23通達以前には、国歌斉唱の際に起立するかしないか、歌うか歌わないかは各人の内心の自由に委ねられているという説明を式の前に行うなど、国歌斉唱が強制にわたらないような工夫が行われてきた。
 しかし、都教委は、10.23通達後、内心の自由の説明を一切禁止し、式次第や教職員の座席表を事前に提出させ、校長から教職員に事前に職務命令を出させた上、式当日には複数の教育庁職員を派遣して教職員・生徒らの起立・不起立の状況を監視するなどし、全都一律に「日の丸・君が代」の強制を徹底してきた。
 原告らは、それぞれが個人としての歴史観・人生観や、長年の教師としての教育観に基づいて、過去に軍国主義思想の精神的支柱として用いられてきた歴史を背負う「日の丸・君が代」自体が受け入れがたいという思い、あるいは、学校行事における「日の丸・君が代」の強制は許されないという思いを強く持っており、そうした自らの思想・良心から、校長の職務命令には従うことができなかったものである。
 ところが、都教委は、定年等退職後に再雇用職員として引き続き教壇に立つことを希望した原告らに対し、卒業式等で校長の職務命令に従わず、国歌斉唱時に起立しなかったことのみを理由に、「勤務成績不良」であるとして、採用を拒否したのである。
3 判決は、国歌斉唱時の起立等を命じる校長の職務命令が憲法19条に違反するかという争点については、2007年2月27日のピアノ事件最高裁第三小法廷判決と同様に、原告らが国歌斉唱時の起立・斉唱を拒否することは、原告らにとっては思想・良心に基づく行為であろうといえるが、一般的にはこれらと不可分に結びつくものではないから、校長の職務命令は、原告らの思想・良心それ自体を否定するものではなく、原告らに対し特定の思想を持つことを強制・禁止したりするものでもないとして、憲法19条違反と認めなかった。・・・・

[ニュース報道]
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