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2008年2月12日

一橋大学、副学長に文科省出身者 天下りポストを新設?

■「意見広告の会」ニュース439より

副学長に文科省出身者=天下りポストを新設?懸念も

【一橋新聞=1138号】

本学は、先月3日の教育研究評議会で、現在3つある副学長ポストを新たに2つ増設し、文部科学省出身の金田正男事務局長を、新設の「募金・事務局担当副学長」に就任させることを大筋で決定した。「空き」となる事務局長ポストには、従来通り文科省出身者が就く見通しだ。国立大学法人の事務局長ポストが事実上の「天下り」ポストであるという社会的批判がある中で、さらに副学長ポストにも文科省出身者を据える今回の決定を問題視する声も上がっている。

 大学側は事務系副学長設置の理由に、事務局長の業務が過重負担となっていることを挙げる。「現在の事務局長一人では事務局運営、事務局改革、募金活動のすべてをこなすのは不可能。募金活動と事務局改革の業務を、事務局長の仕事から外す必要がある」。

◇金田氏が前提の人事

 今回の事務系副学長ポストの設置は、同ポストに文科省出身の金田事務局長を起用する方針の下で進められた。この人事を承認した先月3日の教育研究評議会で大学側は「文科省からの新事務局長人事の打診が近づいている」としており、実質的な「天下り」ポストである事務局長に、新たに文科省出身者を受け入れなければならないことを示唆。そこで、金田氏の事務局改革の取り組みへの実績などを挙げながら、定年退職となる来年3月をめどに副学長職へスライドさせることとした。今回設置される副学長職は従来と異なり理事を兼任しないため、定年後も就任することができる。

 金田氏は文科省の出身で、奈良教育大事務局長などを経て、05年に本学の事務局長に就任。職員の人事評価を年功序列から実力主義へ転換するなど、率先的に事務局改革に取り組んでいる。現在の募金活動の主体的人物でもある。

 本学理事の一人は「財政基盤を支える募金活動は、現在本学の重要課題であり、金田事務局長が熱心に取り組んでいる。企業に募金を依頼する際、『事務局長』の肩書きでは足元を見られる。副学長の肩書きが必要」とも話す。

◇「天下りではない」

 金田氏を事務系副学長に起用し、後任の事務局長に文科省出身者を受け入れ、「天下り」ポストを2つに増やすともとれる今回の決定について、大学は「金田氏の就任は実力を重視したもの。将来的には生え抜きの事務方の事務系副学長就任も好ましい。天下りポストの増設という批判は適切でない」と強調する。

 この決定は役員、部局長、一部の教員らで構成する教育研究評議会で下され、各研究科の教授会では事後報告という形になっている。これに関して教授会では「今回の案件は教授会で審議すべき事項なのではないか」という批判も出ていた。


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