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2008年2月12日

北陸大学不当解雇事件、田村・ライヒェルト教授解雇撤回要求書と賛同署名を提出

北陸大学教職員組合
 ∟●組合ニュース(第267号、2008.2.9 発行)

田村・ライヒェルト教授解雇撤回要求書と賛同署名を提出
賛同署名は943筆

 1月29日、「田村光彰教授とライヒェルト・ルート教授の解雇撤回訴訟を支援する会」と北陸大学教職員組合の代表者は北陸大学太陽が丘キャンパスを訪れ、北陸大学理事長及び各理事宛に両教授の解雇撤回要求書と賛同署名を提出しました。同会及び組合は昨年9月半ばから、各方面に両教授の解雇撤回要求賛同を呼びかけていましたが、多くの人の理解と協力により、提出日までに943筆の署名が寄せられました。提出後も2月7日現在で35筆寄せられています。寄せられた978筆の署名の大部分は、全国の私大教連加盟教職員組合、金沢大学教職員組合、市民運動関係者、友人(大学関係)、北陸大学教員OB、教え子等の協力を通じて寄せられました。
 提出側からは「支援する会」共同代表4名(内1名は組合執行委員長)が出席、当事者の両教授も同席しました。受け取り側は高倉理事、担当課長2名でした。提出団体は事前に北陸大学理事長またはそれに代わる解雇を言い渡した専務理事に直接手渡すことを要望しましたが、出張を理由に断られました。提出者側は、解雇撤回要求書を読み上げ、243筆の署名を手渡しました(内、14筆は数字のみの通告)。その後、各代表が発言し、それぞれの立場から思いを述べ、943筆の署名の重みを十分考えて早期解決に努力することを要請しました。高倉理事は、ぱらぱらと最初の数枚に目を通し、感想も意見も特に述べることなく、「代表して受け取ります」とだけ表明して受け取りました。
 署名提出には北陸朝日テレビ及び北國新聞が取材に訪れました。受け取り側は、事前に聞いていないとして、提出側に対し、取材クルーが同席なら(要求書及び署名を)受け取らない、と受け取りを拒否する姿勢を見せました。提出側は、取材はメディアの判断で提出者とは無関係と主張しましたが、理事会側は受け取り会場へ入ろうとしないので、メディアは場所を変えて取材することになりました。この提出については、テレビ朝日が当日夕方のニュースで、北國新聞が翌日(1月30日)の朝刊で報道しました。テレビ朝日は、当事者教授の談話をかなり詳しく取り上げていました。北國新聞の記事は「支援する会」ホームページ(http://www.tars.jpn.org/)に転載されています。
 組合員2教授解雇撤回訴訟の第1回裁判期日は2月18日(月)です。教職員組合は、裁判を支援しながら、「支援する会」と連携し、今回の解雇撤回要求に対する回答を求めていきます。教職員組合は、皆さんとともに、理事会が多数の解雇撤回要求署名を重く受け止め、謙虚に解決に向け努力することを希望したいと思います。

 ご協力ありがとうございました。今後も引き続きご支援をお願いいたします。
 次ページに「解雇撤回要求書」を掲載します。賛同署名用紙記載のものと同じ内容です。なお、実際に提出された要求書は、これに共同代表4名が署名捺印しました。

北陸大学理事長 北元喜朗 殿 北陸大学理事 各位

解雇撤回要求書

 私たちは、学校法人北陸大学理事長並びに理事各位に対し、田村光彰教授及びライヒェルト・ルート教授に対する不当解雇を直ちに撤回することを要求します。

 平成19年2月21日付貴理事会からの一方的な解雇通知に対し、田村教授とライヒェルト教授は3月15日付で地位保全及び賃金仮払いを求める仮処分を金沢地方裁判所に申し立てました。これに対し同裁判所は8月10日付で両教授の主張をほぼ全面的に認め、本件解雇は「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と是認することはできず、無効」との明確な判断を下しました。貴理事会はこの判断を真摯に受け止め、両教授に対する不当解雇を直ちに撤回すべきです。
 もともと両教授は長年にわたり、北陸大学の教育に責任と誇りを持って献身してきました。それ以外にも、田村教授は、大学人の立場から社会正義を求める活動に情熱を傾け、ライヒェルト教授は、日本のドイツ語教育の向上に尽くしただけでなく、日本文化愛好家として幅広く日独文化交流の活動をしてきました。公平に見れば、両教授とも北陸大学の貴重な人材であるはずです。
 言うまでもなく、大学は、私立大学といえども、教育的使命と責任の下に社会に貢献する公的存在です。それゆえ、理事会は教育の担い手である教員の活用こそ図るべきで、金沢地裁が認めるように、長年教鞭を執ってきた教員を十分な話し合いもなく解雇するようなことは許されません。
 昨春には、石川県労働委員会より、薬学部3教員に対する貴理事会の不当労働行為が認定されました。したがって、貴理事会は立て続けに公的機関から不法・不当行為を指摘されたのです。貴理事会はこの重みを深刻に受け止めるべきです。
 大学は社会の理解と支持の中でのみ存在し得ます。公的機関による一連の不法・不当行為の指摘は不名誉以外の何ものでもありません。私たちは、貴理事会が大学の社会的責任を心に刻み、また、自らの非なく追われようとしている者の内なる思いと、これまで北陸大学で学んできた多くの学生・卒業生たちにも思いを馳せ、謙虚に自らの錯誤を正すことを求めます。

平成20年1月29日

北陸大学教職員組合
北陸大学田村光彰教授とライヒェルト・ルート教授の解雇撤回訴訟を支援する会


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