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2008年2月28日

日本学術会議、我が国における研究評価の現状とその在り方について

日本学術会議
 ∟●我が国における研究評価の現状とその在り方について

平成20年(2008年)2月26日
日本学術会議
研究評価の在り方検討委員会

この対外報告は、日本学術会議研究評価の在り方検討委員会の審議結果を取りまとめ公表するものである。

要 旨

1 作成の背景
評価は、研究活動に対して支出された資金に関する説明責任を果たすとともに、研究活動をより活性化し研究の質を高めるために必要なものである。現在、研究評価は、科学技術政策や行政改革を背景に外部からも要請されるようになっている。その一方で看過しえない様々な問題も浮かびあがってきている。

2 現状及び問題点
 現在実施されているピアレビューの多くは、現役の研究者が評価者となるため、評価する側・される側の双方において、評価のために膨大な時間とエネルギーが費やされ、深刻な研究時間の不足を引き起こしている。また、評価の形式化や評価作業への徒労感も指摘されている。
 多様な研究活動を奨励するためには、評価対象の違いに応じた評価基準の適正化・精緻化が行われる必要があるが、現状は十分ではない。
 重要な研究課題や研究施策は、政策評価法に基づいて各府省による自己評 価によって行うことになっているが、学識経験を有する者の知見を活用する外部評価の活用も推奨されており、実際に実施している場合も多い。しかし、評価者、評価方法・基準が重要研究課題や研究施策の推進側である府省によって決定されることが多いなど、公正性や透明性に国民から疑念を持たれる可能性がある。
 また、評価業務を実施・支援するためには、人的及び物的な基盤が必要であるが、基盤整備が不十分な状況にある。

3 提言等の内容
(1) 研究課題評価の在り方について
① 研究課題に応じた評価
 研究の目的に応じて評価はなされるべきであり、研究課題の種類により評価基準が異なることが原則である。基礎研究の評価では、研究成果の価値がすぐに顕在化しないため、数値的な評価指標のみで表すことは困難であり、研究成果の評価はその将来価値を判断可能なピアレビューによることを原則とすべきである。応用・開発研究の評価では、実用化までのシナリオを十分に検討した上で研究課題が計画されているかを、チェックリスト等を用いて評価することが重要である。融合研究分野や挑戦的な研究課題については、特性に即した評価基準を設定し、研究分野を熟知した評価者によってなされるべきであり、評価文化の熟成が望まれる。・・・・


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