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2008年3月 4日

首都大学労組、2008年度春闘方針 「全教員任期制」の原則を撤廃することなど

首都大学労組
 ∟●2008年春闘方針案  (手から手へ第2479号 )

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Ⅱ.法人及び大学の改革と民主化
1.教員の任期制に関わる問題
 法人化3年を経過して、わたしたち組合が一貫して反対してきた教員の一律任期制の矛盾、弊害があからさまに露呈してきました。

① 職務、ポストにかかわらない任期制であるため、職務やポストを基準とした合理性のある評価基準が作れませんでした。したがって、非任期の教員とまったく区別なしの「年度評価」の積み重ねとしての「結果評価」でしかありえず、教員は5年どころか1年単位の成果だけが重視される息苦しい状態に陥っています。
② この短期的成果主義の蔓延、「テニュア・トラック」導入への法人の後ろ向きな対応に嫌気がさした教員の他大学への流出が止まらず、その一方で、教員公募の応募者数に端的に現われているように他大学、他研究機関の研究者から敬遠される大学になりつつあります。
③ 本学の任期制が、職務、ポストに沿った明確な基準に欠けるものであることは、本来、大学教員が当然の責務、職務の前提とみなしていたものを、たんに評価項目のひとつにしてしまいました。「教育」や「組織運営」が評価項目として入っていても、それらは多くの中のひとつでしかなく、他の、とくに研究成果で代替しうるもの、手を抜くことが可能であるものにおとしめられつつあります。
④ 「テニュア」制度がないことは、科学技術振興機構などいくつもの公的な競争的研究資金への応募資格そのものを、大学として放棄することになっています。このことはこの大学が、我が国の学術体制の常識から著しく逸脱しているということを示しており、緊急の対応が求められます。
組合は、一律任期制から生じた、こうした状況を打破するために、昨年末の秋季年末闘争の交渉において、法人当局から「大学教員としてふさわしい能力を有し、意欲を持って職務に取り組んでいる者については、原則として再任される」とういう明言を引き出しました。
 しかし、現在の大学の抱える困難を打破し、教育、研究を活性化させるためにはさらに一歩前進し、「全教員任期制」という枠組みそのものを変えさせる必要があります。
 したがって、次期中期目標・計画の策定作業が行われる今年度、組合はあらためて「任期制」の根本的な見直しを要求します。
 また、ほとんどなんの根拠もなく任期制に付随するものとして行われている年俸制に関しても、たんに非任期教員の給与を低めるだけでなく、扶養手当、住居手当の撤廃などで、全教員の年収を他大学に比べて劣悪にしているだけであることも深刻な問題です。
 組合は任期制の是正とともに、年俸制の根本的見直しも要求します。 ただし、以下の具体的要求は春闘時期に決着するものではなく、年度を通して主張し続けることとし、今期の要求は第3項に掲げます。

(1) これまでの「任期制」のあり方を総括し、「全教員任期制」の原則を撤廃すること。
(2) 新規採用教員の任期付採用を撤廃し、原則、任期なし採用とすること。
(3)「全員任期制」を前提とした給与構造を改め、職務と職階に応じた合理的な給料表とすること。
(4) 扶養手当、住居手当を復活すること。
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