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2008年3月25日

鹿児島国際大学不当解雇事件、原告教授の声明 大学の歴史に汚点を残す愚行

 下記は,鹿児島国際大学不当解雇事件で,6年間の裁判を闘った馬頭忠治氏が,3月24日,記者会見において発表した声明です。

 津曲学園による私たちに対する懲戒解雇が誤りであり違法であったことがはっきりとしました。人事に不正などなかったです。教員選考の委員であった私たちと経済学部教授会の判断は正しかったことが証明されました。この上なく嬉しい完全勝訴です。

 津曲理事会は、私たちに謝罪するとともに名誉回復の措置を直ちに講ずべきです。また既に確定している原職復帰に対する一切の妨害は止めるべきです。さらには、率直に言って、この6年を返していただきたい。家族に対しても償っていただきたい。強く、そう思っております。

 また、理事会は、この教員選考の委員を務めた私たち以外のお二人に対する6ヶ月と12ヶ月の減俸という懲戒処分を撤回し、お二人にも謝罪すべきです。もちろん、学長に上申書を出して、この事件のきっかけを作った7人の責任も厳しく問われるはずです。

 さらに、この懲戒解雇の不当性を自らのHPに訴えた市民(鹿児島在住)に対して、故菱山前学長は、謝罪広告を新聞紙面に載せないと名誉毀損で訴えるなどと信じられない暴挙に出ました。理事会は、これも不問に付すことはできないはずです。

 そればかりではありません。これまで裁判所に提出した理事会の証拠は、2002年の地位保全裁判のものとほとんど変わっていません。理事会は、同じ資料で最高裁まで長引かせ、鹿児島地裁と福岡高裁の判決を尊重することなく、裁判をいたずらに引き伸ばしてきたのです。これは明らかに人権侵害です。長引けば、裁判費用も嵩みます。私たちの負担も大変なものです。この事件の責任者は、これらの費用を私弁すべきです。

 さらに、津曲学園理事会は、高等教育を預かるものとして、事件に関わる一切の事実を明らかにし、その責任を取るのは当然ですが、とりわけ、京都大学名誉教授でもある伊東光晴理事の責任は極めて大きいはずです。懲戒解雇理由書にもとづく弁明聴聞を主管し、懲罰委員会の委員を務め、理事会で懲戒解雇と決定するまで一貫してこの事件に関わってきたのは、菱山全理事長はすでに昨年2月に死去されたので、もはや伊東光晴理事だけです。また、私は、この事件のきっかけをつくったH教授の研究業績には、剽窃の疑義さえあることを鹿児島地裁に資料で示しましたが、その同じものを学術担当理事でもあるこの伊東光晴氏に郵送しております。このように伊東理事の責任は看過できるものではありません。

 この懲戒解雇事件は、大学の名を著しく傷つけた事件でもあります。理事会が教員の研究上の判断を問題にし、かつ虚偽記載だとでっち上げて懲戒解雇したことは、大学の歴史に汚点を残す愚行でしかありません。教授会の自治も否定されました。今後、私たちは、一丸となって鹿児島国際大学の名誉と信頼を取り戻していかなくてはなりません。最後となりましたが、6年間という長い間にわたって、支援し続けていただいた鹿児島の守る会の皆様、全国の大学教員の皆様、組合の皆様、また嘆願書を学長や同窓会長に出してくれた卒業生の皆様、さらには私の家族に心よりお礼を申し上げます。有難うございました。

鹿児島国際大学経済学部教授 馬頭忠治        2008年3月24日


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