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2008年4月22日

全労連、「規制改革推進のための3カ年計画(改定)」に対しての見解

全労連
 ∟●「規制改革推進のための3カ年計画(改定)」に対しての見解

規制改革推進のための3か年計画(改定)(平成20年3月25日閣議決定)
II 重点計画事項
 ●11. 労働 (PDF : 19KB)
 ●12. 雇用・就労 (PDF : 19KB)
III 措置事項
 ● 9. 教育・研究関係 (PDF : 91KB)
 ●12. 雇用・労働関係 (PDF : 32KB)


【はじめに】
 (1) 政府は、3月25日に、「規制改革推進のための3カ年計画(改定)」(以下、「規制改革計画」という)を閣議決定している。昨年6月22日に決定された「3カ年計画」の一部改定であるが、規制改革などの「構造改革」が生み出してきた労働者、国民の貧困化や地域間などでの格差の拡大、それらに対する世論の批判に対し、余りにも無神経である。
 近年、急速な規制改革が求められた介護分野で、不正受給をおこなったコムスンが事業廃止に追い込まれ、東京都の認証保育所が不正行為を理由に認証を取り消される事案などがおきている。公共サービスへ営利企業の参入を拡大したことの矛盾の表面化である。
 「規制改革計画」は、表面化しだした規制改革の負の部分を全く検証せずに、以前からの新自由主義的主張を繰り返している。その点だけでも政策的な正当性はなく、全労連は「規制改革計画」の具体化に強く反対する。

 (2) 「規制改革計画」では、医療や福祉・保育・介護、労働分野など17分野の規制改革「重点計画事項」を示している。いずれも、市場原理になじまない分野を「儲け」の対象とするために、露骨に規制緩和や民間開放を求めている。そのような立場での規制改革が、弱肉強食の競争社会を作り出し、労働者の貧困状態を深刻にし、格差拡大の原因となり、社会全体の安定や安心を損ない、閉塞感の元となっていることは、疑う余地はない。

【認めることのできない労働分野の規制緩和論】
 (1) 全労連としてとりわけ認め難いのは、労働分野と雇用・就労分野での生活保護制度見直しにかかわる「計画事項」である。
 労働分野については、「規制改革計画」の論議過程の「第2次答申」で、規制改革の目的等に言及した次のような問題意識が明らかにされている。
 すなわち、現在の日本の労働法制は「労働者を強く保護」しているとし、労働市場の規制を「誰にとっても自由で開かれた市場」にすることを求めている。また、「労働者の権利を強めるほど、労働者の保護が図られる」という考え方は「一部に残存する神話」だと攻撃し、「規制を撤廃することこそ、労働市場の流動化、脱格差社会、生産性向上などのすべてに通じる根源的な政策課題」だと決めつけている。

 (2) このような問題意識には、労働力と言う「特殊な商品」が、雇用される側(労働者)が、雇用する側に対して相対的に弱い立場のもとで労働契約を結ばざるをえないという認識が希薄である。人を対象とする労働法制では、貧困解消をはじめ、労働者と家族の生活の安定をはかる社会政策の立場が重要である。この歴史的にも国際的にも確認された立場、非正規労働者が急増する今の日本社会で重視すべき中心課題への関心が払われていない。
 今回の「規制改革計画」では、そのような問題意識は省かれて入るが、「多様な働く方を選び得る派遣・請負労働の実現」、「労働政策の立案について」の改革課題は「第2次答申」と全く変わっていない。したがって基本的な問題意識は、引き継がれていると考える。・・・・


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