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2008年4月21日

自衛隊イラク派兵差止訴訟の会、声明

自衛隊イラク派兵差止訴訟の会

声明

第1 画期的な違憲判決である
 2008年4月17日、名古屋高等裁判所民事第3部(青山邦夫裁判長、坪井宣幸裁判官、 上杉英司裁判官)は、自衛隊のイラクへの派兵差し止めを求めた事件(名古屋高裁平成18年(ネ)第499号他)の判決において、「自衛隊の活動、特に航空自衛隊がイラクで現在行っている米兵等の輸送活動は、他国による武力行使と一体化したものであり。イラク特措法2条2項、同3項、かつ憲法9条1項に違反する」との判断を下した。
 加えて、判決では、平和的生存権は全ての基本的人権の基礎にあってその享受を可能ならしめる基底的権利であるとし、単に憲法の基本的精神や理念を表明したにとどまるものではないとし、平和的生存権の具体的権利性を正面から認めた。
 判決は、理由中の判断で、自衛隊がイラクへ派兵された後の4年にわたって控訴人らが主張してきたイラク戦争の実態と自衛隊がイラク戦争の中でどのような役割を果たしているかを証拠を踏まえて詳細な認定を行い、委託特措法及び憲法9条との適合性を検討した。その結果、正面から自衛隊のイラクでの活動が違憲であるとの司法判断を下したものである。
 この違憲判決は、日本国憲法制定以来、日本国憲法の根本原理である平和主義の意味を正確に捉え、それを政府の行為に適用したもので、憲政史上最も優れた、画期的な判決であると評価できる。判決は、結論として控訴人の請求を退けたものの、原告らを始め日本国憲法の平和主義及び憲法9条の価値を信じ、司法に違憲の政府の行為の統制を求めた全ての人々にとって、極めて価値の高い実質的な勝訴判決と評価できるものである。・・・・


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