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2008年05月20日

横浜市立大学教員組合、教員評価制度に関する声明

横浜市立大学教員組合
 ∟●組合ウィークリー 、2008.5.19

教員評価制度に関する声明

●平成20年度教員評価について

 平成20年度の教員評価制度について、その評価結果を翌年度の処遇に反映させるか否かは、教員組合と大学当局との協議事項であり、当局も認めているところです。したがって、教員組合との協議が成立しない限り、評価結果が処遇に反映されることはありません。
 法人化後の大学教員は、公務員の勤務関係とは異なって、民間企業と同様の雇用関係となりました。法令上、人事考課のあり方は労働条件の一部として労使交渉の対象ですから、労働者側の合意なしに教員評価結果を処遇に反映することはできません。
 教員組合では、当局とこの問題について折衝を重ねてきており、現在も折衝中です。
 なお、教員評価制度についてご意見を教員組合にお寄せください。

●教員評価制度に関する声明

 教員組合拡大執行委員会では、教員評価制度に対するこれまでの教員組合の主張と組合員から寄せられた声を「教員評価制度に関する声明」にまとめました。学長、理事長に提出し、現在当局が進めようとしている教員評価制度の問題点を指摘し、改善を求めます。

2008年5月15日

教員評価制度に関する声明

横浜市立大学教員組合

1 評価制度の根本的問題について
・教員評価制度は「学問の自由」を侵害する危険な内容である。知的ユニバースの一員としての社会的責務を果たすべき教員の研究について学長、学部長の立てた目標にもとづくこととなっており、さらに、具体的手続きにおいても、コース長等の評価者との面談における確認を要求し、目標変更に関しても同様の手続きを想定している。研究についての目標は、教員個々人が設定し、コース長等はアドバイスを行うにとどまるように改められなければならない。
・近年、大学内でのパワーハラスメントの問題が注目されるようになった。学長、学部長、コース長などの選挙制度をとっていない本学においては、教員評価制度がパワーハラスメントの道具として悪用される危険性が極めて高い。

2 評価制度の内容について
・評価対象となる事項については、被評価者としての各教員が自ら責任を負うことが可能な事項に限定される必要がある。しかしながら、それに反するものが存在する。例えば担当科目の受講者数はカリキュラム編成の如何に影響されるし、入試委員等の学内業務は各教員が主体的に決められるものではない。こうした個々の教員の権限の及ばない事項については評価の対象から除外すべきである。
・教員が学長、学部長等の指示をふまえて教育・研究・診療・地域(社会)貢献・学内業務に関する目標を設定し、期末に自己評価することとされている。各教員はこれまで自主的に、大学人として目指すべき理想と現実的な計画実現性とを勘案して目標設定を実施してきており、その具体的なあり様は個性に富んでいて多様である。したがって、評価目標設定における各項目のウエイトの設定について、教員が評価者等から修正を強制されるべきではない。当局はすでにこの点を基本的に認めているが、ここで再度確認する。
・評価者である学部長、コース長が、教員に先立って自分たちの「目標シート」を作成して例示すべきである。

3. 人事処遇との関係について
・評価制度の目的は、「大学全体の教育・研究を活性化し、教員一人ひとりが常に能力向上を図る」とされている。したがって、教員評価制度による評価結果をそのまま処遇に反映させることはできない。
・仮に、評価を賃金水準や再任の可否などの処遇と連動させるというのであれば、教員の職務内容について評価の対象となる事柄が、適切かつ公正に設定されねばならない。

4. 教員評価制度の修正・改善について

・教員評価制度においては、教育に関する事項が評価対象の一つとされている。教育に関する事項は教授会の管掌事項である。したがって、教育に関する評価項目・評価基準については、教授会または代議員会あるいはコース会議での審議事項でなければならない。
・当局は、教員組合の質問に対して繰り返し「実際の運用において生じる問題点は、引き続き検証し、見直しを行っていく」旨の回答をしてきた。平成19年度の教員評価に関していかなる検証を行い、平成20年度にどのような改善・修正をすることになったのか、十分な説明が必要である。


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