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2008年06月02日

首都圏大学非常勤講師組合、2008年度春闘統一要求 「偽装請負をやめ直接雇用にせよ」

首都圏大学非常勤講師組合
 ∟●2008年度春闘統一要求

2008 年度 春闘統一要求

すべての大学で非常勤講師に1 コマ月最低3 万円以上の賃金を!
大学は偽装請負をやめて直接雇用にせよ!
コマ切れ・掛け持ちパートの非常勤講師に社会保険を!

……(中略)……

偽装請負をやめ直接雇用にせよ

 少子化による経営難と政府の規制緩和政策のもとで大学の危機はますます進行している。
 規制緩和の最も極端な表れは、LEC 大(東京リーガルマインド大)やデジタルハリウッド大などの株式会社立大学である。たとえば、LEC 大の場合、専任の教授・助教授の月給が10 万円以下で、非常勤講師並みである。教員は「業務委託」という名目で雇われ、専任も非常勤も労働者として扱われていない。授業の多くは予備校講義のビデオで済まされるという実態のため、さすがに文部科学省も黙認できなくなり、勧告が出されたことは周知の通りである。
 また、帝京大学などではグループ企業の専門学校から講師を派遣するという形で、大学教育の外注化が進んでいる。このように、人件費の大幅削減をねらって外部企業から講師を派遣するケースが増加するとともに、その形も巧妙になり、偽装請負というべきものまで出現している。
 現段階で、外注化について4つのタイプに区分されると思われる。

 第1は、違法派遣と呼ばれるもので、派遣法で臨時的・一時的な業務に限定されていることを無視し、長期にわたって派遣講師として就労させるものである。
 第2は、個人委託・請負であり、教員を「一人親方」扱いにし、労働者と認めないものである。専任教員までこの形で就労させているのがLEC 大である。そもそも大学教員の労働者性については疑いがないので、このような形での就労は言語道断である。
 第3は、丸投げ型業務委託であり、首都大学東京が行なっている外国語学校への丸投げがその例として有名である。「請負契約の性質上、大学から当該外部講師に対して指揮命令をする事は出来ないことに留意することが必要」なので(06年:大学振興課「大学において請負契約等に基づいて授業を行うことについて」)、この形態の就労も問題である。
 第4は、W大学型偽装請負であり、グループ内の別会社が講師を募集し、大学の指揮下で講義をさせているものである。もしこれが派遣である場合、同一業務で3年以上派遣を利用するのであれば、直接雇用を申し入れる義務が発生する。また、もしこれが請負である場合、「一般的には、請負契約による講師は、学長の権限と責任の下において、自ら授業を行うことが困難であり、その役割は、授業を行う教員を補助する業務に限定される可能性が高い」(「大学において請負契約等に基づいて授業を行うことについて」)という見解にも抵触する。
 大学は、直接教育に責任をもつために、このような外注化をただちにやめ、講師を直接雇用にすることを要求する。…


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