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2008年06月26日

立命館大学特別転籍、「学生軽視」背景に 執行部対応へ不信感も

■京都新聞(6月21日)

立命大転籍 「学生軽視」背景に/執行部対応へ不信感も

(解説)立命館は特別転籍問題で、理事長、総長らの処分を決めた。

 15億円以上の補助金減額も「授業料値上げはしない」と学生への配慮を示すが、問題の根本はこれまで学生を軽視し、学内の異論を封じ込めてきた執行部の対応にある。学生、教職員、そして社会から失われた信頼を取り戻すのは容易ではない。

 立命館は当初、「学生の教育条件(環境)確保のため」と特別転籍を説明したが、常任理事会がまとめた学内文書は定員超過の問題点に学生の不利益を明記していなかった。文部科学省の指摘どおり、補助金不交付を逃れる便法として繰り返されてきたのは間違いない。

 検証報告書は、学生を多様に評価する入試による「不本意入学」の多さも特別転籍の背景としたが、「複雑入試で受験者を増やしている」と教育関係者から批判がある。今回の特別転籍で、「立命館は教育より経営優先」の印象が強まったことは否定できない。

 キャリア教育や留学プログラムへの高評価など、関西私大の中でも全国レベルで学生の吸引力がある。しかし立命館大の「学風」にあこがれて入学する学生が、今どれだけいるのか。学生たちは総長自らの説明を強く求めている。学生の不信感に大学は危機感を持つべきだ。

 一方、教職員からは執行部退任要求が出ている。執行部が「なぜ転籍実施を決めるときに意見を出さなかったのか」などと反論するが、川本相談役らの退任慰労金倍増決定(今年3月)の撤回要求を封じ込めるなど、この間の執行部の強硬対応こそ学内議論が機能しない大きな理由だ。

 特別転籍の舞台となった生命科学部などの新設や大阪府南部の高校との関係強化など、執行部は拡大路線を進めるが、立命館が目指す学園像について学内全体で一致できていないのは事実。川口総長は会見で、「コンプライアンスだけでなく、学園の管理運営のあり方まで学園内で議論したい」としたが、過去の責任を不問とした今回の処分をみても、風通しのよい学園づくりへの道筋は見えてこない。


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