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2008年07月03日

教育振興基本計画(本文)

教育振興基本計画(本文)
教育振興基本計画の概要
中央教育審議会答申「教育振興基本計画について」(平成20年4月18日)

 この計画は,教育基本法(平成18年法律第120号)第17条第1項に基づき,国会に報告するものである。

特に,高等教育分野における「教育」面については,以下の事項が基本内容。

基本的方向3 教養と専門性を備えた知性豊かな人間を養成し,社会の発展を支える

① 社会の信頼に応える学士課程教育等注1 を実現する
 高等教育の大衆化が進行して同世代の過半数が進学する「ユニバーサル段階」,そして,少子化により18歳人口が減少し,いわゆる「大学全入」時代を迎える中で,大学等における教育の質の確保が重要な課題となっている。このため,大学等が社会的ニーズや学習者の様々なニーズに的確に対応するとともに,それぞれの掲げる教育研究上の目的の下,教養と専門性を備えた人間を育成することができるよう,各学校の位置付けや期待される役割・機能を十分に踏まえた質の高い教育の展開を支援する。大学については,教学経営において特に重視すべき三つの方針,すなわち「学位授与の方針」,「教育課程編成・実施の方針」,「入学者受入れの方針」の統合的な運用による優れた実践の普及を促進する。その際,それぞれの個性・特色を一層明確にする教育や大学教員の教育力向上のための取組を促す。

【施策】
◇ 社会からの信頼に応え,求められる学習成果を確実に達成する学士課程教育等の質の向上
 学士課程で身に付ける学習成果(「学士力」)の達成等を目指し,各大学等において教育内容・方法の改善を進めるとともに,卒業認定も含めた厳格な成績評価システムを導入するよう支援する。さらに,教育環境の改善・充実を図り,すべての大学等において教員の教育力の向上のための取組が実質化されるよう,教員の教育業績の評価,学生による授業評価の結果を改善へ反映させる組織的取組等を促すとともに,優れた取組を行っている大学等を支援する。こうした各大学等における教育改善の取組を推進するため,教員の教育力の向上のための拠点形成とネットワーク化を推進するなど,個別の大学等の枠を超えた質保証の体制や基盤の強化を支援する。
 さらに,ICTを活用した教員の教育力向上・教材作成や,国内外の教育コンテンツ等の情報収集・発信,海外の中核的機関との連携強化等を支援する。

◇ 共通に身に付ける学習成果の明確化と分野別教育の質の向上
 学生が教育分野にかかわらず共通に身に付ける学習成果について,国際的通用性の確保にも留意しつつ,明確化に取り組むとともに,分野別の教育の質の向上・保証を行うため,学習成果や到達目標の設定などの取組を促す。あわせて,教育の分野別質保証の在り方について日本学術会議との連携を図りつつ,それぞれの質の保証に向けた枠組みづくりを進める。

◇ 高等学校と大学等との接続の円滑化
 各大学等が入学者受入れ方針の明確化を図りつつ,高等学校段階の学習成果を適切に評価する大学入試の取組を促すなど,高等学校と大学との接続の円滑化を図る。また,高等学校段階での学習成果を客観的に把握し,高等学校の指導改善や大学入試などにも幅広く活用できる方法について,中央教育審議会の審議を踏まえ,高大関係者が十分に協議・研究するよう促す。また,高校生が大学教育に触れる機会等を充実するため,大学等の高大連携に関する優れた取組を支援する。大学への飛び入学については,「特に優れた資質」の判定や大学における指導体制など現行制度のより柔軟な運用を図り,各大学における積極的な取組を促す。

⑤ 大学教育の質の向上・保証を推進する
 高等教育の量的拡大や多様化の一層の進展を踏まえ,学習者の保護や国際的通用性の観点から,高等教育の質を保証する取組を推進する。その際,個々の機関の設置目的や使命等も踏まえ,それぞれの機能や役割に則して多元的な評価が行われるよう留意するとともに,個別の大学等の枠を超えた質保証の体制や基盤の強化を促す。
 また,大学等の設置認可や認証評価制度,情報公開を含めた包括的な教育の質保証の在り方について,中央教育審議会において検討し,認証評価制度の第2サイクルに向け,必要な措置を講じる。

【施策】
◇ 事前評価の的確な運用
 我が国の大学等が国際的に通用するための最低限の要件を明確化する観点から,事後評価との適切な役割分担と協調を図りつつ,教員組織,施設・設備等に関して大学設置基準等の見直しを行うとともにその的確な運用を進める。

◇ 共通に身に付ける学習成果の明確化と分野別教育の質の向上
 大学教育の質の向上・保証を推進する観点からも,共通に身に付ける学習成果の明確化と分野別教育の質の向上を推進する。(第3章(3)基本的方向3①◇共通に身に付ける学習成果の明確化と分野別教育の質の向上の項を参照。)

◇ 大学評価の推進
 大学評価システムの確立・定着に向け,認証評価(機関別,専門職大学院専門分野別),自己点検・評価,分野別評価等の大学評価に関して,大学等と評価機関が行う効率的な評価方法の開発等を促すとともに,参考となる多様な事例を集積・提供すること等により,認証評価等の大学評価の充実と教育の質の向上を図る。あわせて,認証評価等の大学評価による評価結果や,例えば,教員数,学生数,教員の研究業績等の大学情報を積極的に提供するよう促す。

[ニュース報道]
教育基本計画 本当に投資拡充できるか(山陽新聞社説)
教育基本計画 実現の道筋が見えない(信濃毎日新聞)
これでは現場の負担が重い(宮崎日々新聞)
基本計画決定 名ばかりの「教育振興」(中日新聞社説)
教育振興基本計画:10年で世界最高学力に いじめ、不登校に対応--閣議決定(毎日新聞)
初の基本計画 道徳教育推進を明記(読売新聞)
教育振興に数の約束なく、給与は優遇削減 基本計画(朝日新聞)
教育振興基本計画を閣議決定 数値目標盛り込まれず(産経新聞)
教育振興基本計画を閣議決定 予算の数値目標設定は見送り(日経)
無制限な教育介入に道
統制・競争教育を推進 初の「基本計画」 閣議決定

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