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2008年07月14日

日本科学者会議、「研究開発力強化法」と研究成果の公開規制強化の動向について

日本科学者会議
 ∟●「研究開発力強化法」と研究成果の公開規制強化の動向について

「研究開発力強化法」と研究成果の公開規制強化の動向について

 先の第169回通常国会最終盤に、「研究開発力強化法」(「研究開発システムの改革の推進等による研究開発能力の強化及び研究開発等の効率的推進等に関する法律」)が、自民党・民主党・公明党などによる議員立法として、衆議院・参議院でそれぞれわずか1時間の審議で成立したことに、驚きを禁じ得ません。
 「研究開発力強化法」は、研究者の任期付き採用や国の委託研究の成果の無償譲渡など、研究交流促進法の諸制度を引き継ぎ、研究施設等の民間開放などを定めています。しかし、人員削減の緩和など、研究開発政策の一定の手直しを含みつつも、依然として大学を含む公的研究機関の研究能力を事実上大企業の国際競争力強化に奉仕させ、さらなる重点化・効率化と競争の促進によって、研究環境を一層悪化させ、社会問題化している若手研究者の就職難も是正どころか、「能力活用」の名の下に、より深刻化させるおそれがあります。
 とりわけ看過できないことは、第41条で「国は、研究開発の成果の適切な保護を図るため、国の資金により行われる研究開発の成果について、我が国の国際競争力の維持に支障を及ぼすこととなる国外流出の防止に必要な施策を講ずるものとする」とし、さらにその第2項で「研究開発法人、大学等及び事業者は、その研究開発の成果について、我が国の国際競争力の維持に支障を及ぼすこととなる国外流出の防止に努めるものとする。」と定めることにより、研究成果の「国外流出の防止」を義務付けたことです。…


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