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2008年08月01日

愛知教育大学学長、「2009年度国立大学法人運営費交付金3%削減の撤回を求める緊急声明」

愛知教育大学
 ∟●2009年度国立大学法人運営費交付金3%削減の撤回を求める緊急声明

2009年度国立大学法人運営費交付金
3%削減の撤回を求める緊急声明

2008年7月28日
国立大学法人愛知教育大学学長 松田 正久

 国は、09年度予算の概算要求基準(シーリング)で、国立大学法人の運営費交付金の削減幅を1%から3%に拡大することを29日の閣議で決定する方針を固めたといわれています。これに対し、国立大学協会は、会長名で、23日に緊急声明を出し、「そのような運営費交付金の大幅かつ唐突な削減が行われれば,教育の質を保つことは難しくなり、さらには一部国立大学の経営が破綻することとなります。また、地域における医師等の人材育成機能が低下するだけでなく、学問分野を問わず、基礎研究や萌芽的な研究の芽を潰すなど、これまで積み上げてきた国の高等教育施策とその成果を根底から崩壊させることとなります。」として、早急の見直しを求めています。

 運営費交付金については、効率化係数1%により、04年度を基準に、05年度以降毎年1%近い運営費交付金が減額されています。愛知教育大学の場合、毎年約4,700万円の減額に相当し、04年度の法人発足時に比べ、運営費交付金は08年度には約1.8億円減少しており、累計額で約4.7億円の減額となります。

 教育系単科大学である本学は、こうした事態に対応するため、退職教職員の不補充による人件費の削減やさまざまな工夫をしながら管理的経費を削減し、教育研究の量的質的維持を最優先課題として運営してきました。こうした努力もあり、本学卒業生の正規教員合格率は50%を超え、全国で第1位となっています。また、臨時教員を含む教員就職率も75%と、教員養成を目的とする大学の役割を十分果たしていると考えています。

 しかしながら、概算要求基準通りに09年度の運営費交付金が3%削減されることになれば、本学の場合,約1.5億円もの運営費交付金が一挙に削減されることになります。この額は、約270人の教員全体の1年間の基盤的教育研究経費(いわゆる教員研究費)の総額もしくは光熱水費・通信費などの基幹的共通経費に匹敵する額でもあります。この3%もの削減が実施されれば、こうした費用の捻出が難しくなり、経営が厳しくなることは明々白々な事実です。総人件費改革による人件費削減も06年度以降の5年間で5%削減することを求められており、「人(教職員)がすべて」の教育系単科大学は、今でも大変難しい対応を迫られています。この上、基盤的教育研究経費もしくは基幹的共通経費相当額の交付金が減額されれば、経営的にも大変厳しくなることは必然です。

 教育系単科大学にあっては、優れた教員の養成を軸に社会で幅広く活躍する人材を養成することが全てであり,地域からの本学への期待も益々増大しております。国においては、この機能を維持し、国民の高等教育を受ける権利と機会を保障していくためにも、運営費交付金3%削減方針を撤回され、高等教育の充実、とりわけ国立大学の充実を図っていただきますよう,強く要望いたします。


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