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2008年09月17日

全大教、第20回教職員研究集会 基調報告

全大教
 ∟●第20回教職員研究集会 基調報告

はじめに

 国立大学法人に移行してから4年、大学をめぐる情勢は益々混迷の度合いを深めているのではないだろうか。国立大学法人に配分される運営費交付金は、国立大学の使命に照らして本当に適切に配分されているのだろうか。また、現在の国立大学法人という仕組みは、本当にこの国の将来を担う若者たちに責任を負えるのだろうか。訴訟にまで発展している学長の選任方法から、教職員の労働条件・環境、研究と教育のあり方に至るまで、個々の国立大学の管理や運営のあり方は、全体的な制度の枠組みを離れては考えられない。
 こうした中で、政府は、さる7 月29 日閣議を開き、2009 年度予算の枠組みとなる概算要求基準において、医師不足や環境対策、技術開発等の「重点化枠」に約3300 億円をあてるため、国立大学・高専運営費交付金、私学助成費等について、「骨太方針2006」で決定されたシーリングマイナス1%枠(対前年度予算比1%減額)をさらに拡大し、マイナス3%とすることを決定した。これにより、国立大学、高専等の運営費交付金のさらなる大幅な削減が危惧される。
 上述したように、国立大学等の現状は、憂慮すべき事態にあり、運営費交付金は、増額こそ必要である。こうした状況が続けば、地方大学をはじめとする国公立大学の衰退、ひいては高等教育総体の衰退をもたらすことは必至であろう。
 「教育振興基本計画」について、政府の教育再生懇談会は、「OECD 諸国で最低水準にある政府の教育費に対する公的支出CDP 比3,5%を5%にすべき」との提言をまとめた。これを受け、文部科学省は教育費への政府支出をGDP 比5%の目標を盛り込んだ教育振興基本計画案を政府の閣議決定とするよう求めたが、財務省等の抵抗により、具体的数値目標を盛り込むには至らなかった。

 このような状況の下、私達は「あるべき国立大学像」を模索しながら、国立大学の充実をはかるため様々な知恵を結集していかなければならない。全大教第20 回教職員研究集会は、こうした国立大学等の危機的状況の下で、9 月13 日~15 日、電気通信大学を会場に開催される。その課題は次の5つである。

 第1 に、諸課題に取り組む上で不可欠な、「過半数を組織する組合づくり」を始め、全大教と各単組の取り組みについて交流・討議を行うこと。

 第2 に、大学・高等教育で現在起きている問題についての交流である。運営費交付金が4年連続して減額される中で、研究教育の現場でおきている諸問題、第二期中期目標・中期計画に向けて、各大学等でどのような目標・計画が立てられようとしているのか、その問題点、今後の国立大学のあり方および自治・自律的機能、などについて討議する。合わせて教職員の権利擁護、労働環境、評価と査定昇給問題などについても議論を深めること。

 第3 に、教員養成系大学問題および教育研究実践の交流を深める。教員免許更新制への対応、教職大学院問題、教育学部再編等についての交流と打開の方途を探る。また、個々のキャンパスで取り組まれてきた研究教育の創造的な取り組みを報告し合い、危機の時代にあっても大学人はこんなすばらしい実践を生み出しているのだという状況を交流し合うこと。

 第4 に、女性教職員の労働環境整備、公立大学や大学共同利用研究機関などのテーマ別交流、および図書館職員・事務職員・技術職員、附属学校教員、非常勤職員など、職種別等の交流をはかり、それぞれの職域で抱えている諸問題について交流・討議すること。

 第5 に、政府及び国会に対して、国立大学等の運営費交付金の大幅削減を見直し、高等教育費増額の方向に政策の舵をきることを強く求める。また、我々は「日本の未来のため、高等教育に必要な予算は確保すべきだ」と社会に理解と支持を得る社会的応援団形成の取り組みをさらに強化する。これらの取り組みの交流と未来を拓く大学・高等教育づくりの方向性について議論を深めること、である。…


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