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2008年09月18日

OECD「図表で見る教育2008」、日本に関するブリーフィング・ノート

OECD図表で見る教育2008年版
図表で見る教育2008 日本に関するブリーフィング・ノート
報告書全文

3.教育への投資

……

○日本の教育支出の対GDP 比は低下している。
○ 日本の教育機関に対する支出の対GDP 比は、2005 年には4.9%となり、2000 年の水準(5.1%)と比べて低下している。 また、OECD 平均の5.8%を大きく下回る(表B2.1)。

(参考)主要国における教育支出の対GDP 比:米国4.8%、英国5.0%、フランス5.6%、ドイツ4.2%、カナダ4.7%、イタリア4.3%、ロシア3.8%、韓国4.3%

○ 日本の公財政教育支出の対GDP 比はデータが存在するOECD 加盟国(28 ヵ国)で最低であり、3.4%である。(表B2.4)教育段階別では、初等中等教育段階への公財政支出の対GDP 比は2.6%と、データが存在するOECD加盟国(29 カ国)中27 番目、高等教育段階では0.5%とデータが存在するOECD加盟国(28 カ国)で最も低い。(表B2.4)

○一般政府総支出に占める教育支出の割合はOECD 平均を下回る。
○ 2005 年の日本の一般政府総支出に占める公財政教育支出の割合は9.5%であり、2000 年の9.4%と同様に依然として低い水準にある。これは、データが存在するOECD 加盟国の中ではイタリアに次いで2 番目に低い水準である(OECD 各国平均は13.2%)。(表B4.1)
(参考)米国13.7%、英国11.9%、フランス10.6%、ドイツ9.7%、カナダ12.3%、イタリア9.3%、ロシア11.9%、韓国15.3%

4.教育費の家計への影響

○日本では教育機関に対する私費負担の割合がOECD 平均を上回り、特に家計負担の割合が高い。
○ 教育機関に対する教育支出のうち公財政支出が占める割合はフィンランド、スウェーデンが95%を越える一方、韓国及び非加盟国であるチリが50%台である。2005 年の日本の教育支出の公私負担割合は、公財政支出が68.6%であり、OECD 各国平均85.5%を大きく下回った。一方、私費負担は31.4%であり、データが存在するOECD加盟国の中では韓国(41.1%)、アメリカ(32.7%)に次いで3番目に高い結果となった。(表B3.1)

○ 教育支出に占める家計負担の割合は22.0%と大きく、韓国に次いで2 番目の水準である。特に、高等教育段階における家計負担の割合は、53.4%であり、データの存在するOECD 加盟国の中で一番高い。(表B3.2b)

○日本における私費負担の割合は、就学前教育及び高等教育において特に高い。
○ 日本では就学前教育における教育支出のうち55.7%が私費負担であり、OECD 各国平均の19.8%を大きく上回る。高等教育においてはOECD 各国平均との差は更に大きく、私費負担は平均が26.9%であるのに対し、66.3%となっている。一方、初等・中等教育への教育支出のうち私費負担は9.9%であり、OECD各国平均の8.5%を若干上回る。私費負担の中でも、家計支出の占める割合は、特に就学前教育及び高等教育において高く、それぞれ38.4%、53.4%が家計から支払われている(表B3.2a, B3.2b)。

……

○日本では、授業料が高額であるのに対して公的な補助を受ける学生の割合が小さい。
○ 大学型高等教育機関における授業料と学生が受け取る公的補助との関係で各国を分類した場合、日本は韓国と同じグループに位置付けられる。このグループの特徴としては、大学型高等教育機関における授業料が高い一方(日本国内学生の平均で5,568 ドル)、公的な貸与補助又は奨学金/給与補助の恩恵を受ける学生の割合がやや低い(25%)ことが挙げられる。これは、高等教育に対する公財政支出の対GDP比がOECD 加盟国中特に低いこととも部分的に関係していると考えられる。(表B5.1c)

○ ただし、日本では学業成績が優秀だが経済的に就学が困難な学生に対する授業料又は入学金の減免制度があることについて留意する必要がある。

……


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