研究者の地位と権利を守るための全国的ネットワークをつくろう!

2008年09月16日

日本私大教連、日本私立大学連盟の不適切支出に関する声明

日本私大教連
 ∟●日本私立大学連盟の不適切支出に関する声明

日本私立大学連盟の不適切支出に関する声明

2008年9月12日

日本私大教連
(日本私立大学教職員組合連合)
中央執行委員会

1.日本私大教連は、日本私立大学連盟(以下、私大連盟)における不適切支出について、7月11日付けで中央執行委員長談話を発表したが、事件の重大性に鑑み、あらためて私たちの考えを声明として公表するものである。

2.新聞各紙は7月4日付夕刊などで、私大連盟の不適切支出を大きく報じた。政治家のパーティー券購入や高級料亭・スナックでの「役員懇談会」「打ち合わせ」などで、昨年度だけで約3300万円に及ぶ高額支出をしていたことに対し、監督省庁である文部科学省が「私立大の振興を図るという公益法人の目的を逸脱しており、不適切」と判断し、11項目にわたる改善事項を示し行政指導を行ったというものである。また、私大連盟が少なくとも4年前から同様の不適切支出を重ねていたこと、「役員交通費」と称する規程外報酬が全役員に年2回渡されていたことも報じられている。

3.私大連盟は、行政指導を受けて緊急役員会を開催し、財務担当理事と事務局長を即時解任したと発表した。しかし、私立大学全体の社会的信用を著しく傷つけた私大連盟の責任は極めて重大であり、もとより担当役員と事務局長の解任ですませられるものではない。
 私大連盟の収入のほとんどは加盟大学からの会費で賄われており、言うまでもなく、その財源の大半は各加盟大学の学費収入と補助金収入である。そうした資金を、不適切で法外な額の飲食費等に当てていたことは、加盟大学の教職員、学生、父母に対する背信行為である。またそれは、補助金の目的外流用にも相当する行為であり、国民の信義に背くものでもある。

4.とりわけ、特定政治家の政治資金集めのためのパーティー券購入に、昨年度だけでも206件1033万円に上る支出を費やしていることは、極めて重大である。この間、国策による「大学・大学院改革」が強力に進められる中で、大規模大学は大学政策の先取りを競い、私大連盟もいわゆる自民党文教族を中心とする政治家への食い込みを組織的に推進してきた。「度を越した」パーティー券購入は結局、私立大学の真の振興・発展のために政治家・政党へ必要な働きかけをするというものではなく、政治権力への擦り寄りであったとの疑念を抱かせるに十分である。それは、私大連盟の設立目的である「会員相互の協力によって、私立大学の権威と自由を保持し、大学の振興と向上を図り、学術文化の発展に貢献し、もって大学の使命達成に寄与すること」を自ら踏みにじる行為でもある。

5.日本私大教連は毎年、極めて貧困な状態に置かれている私大助成の増額と、父母・学生の学費負担の軽減を求める国会請願署名運動に取り組んでいる。この運動は少なくない学園で理事会や大学当局、学生とも連携して取り組まれ、父母、国民各層から多くの署名が寄せられている。今回の私大連盟の不適切な行為は、こうした私たちの運動に対する広範な国民の信頼をも大きく損ねるものである。

6.私たちは、私大連盟の不適切支出に対して厳重に抗議する。そして、私大連盟役員はじめ加盟大学の理事長・学長が自らの責任を深く自覚して、問題の全容を明らかにした上で、学生、父母、教職員、国民に対し謝罪することを要求する。そのことは、去る4月、私大連盟らが構成する私大団体連合会と日本私立短大協会とが連名で公表した「私立大学経営倫理綱領」ならびに「私立大学の経営に関する指針」にも適うものである。率先垂範、自ら襟を正すことを強く求める。


|