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2008年09月29日

日本学生支援機構(旧育英会)の奨学金返還制度がとんでもないことに・・・

首都圏大学非常勤講師組合
 ∟●『控室』第68 号
(参考資料)
「奨学金の会」ホームページ
「奨学金の会」ニュース

日本学生支援機構(旧育英会)の奨学金返還制度がとんでもないことに・・・

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 とりあえずここでは、今後進められようとしている「返還促進」についての情報を皆さんに提供することにします。以下の情報は、日本学生支援機構の労働組合か2008 年9 月14 日発行 『控室』第68 号から寄せられた「国民のための奨学金制度の拡充をめざし、無償教育をすすめる会」発行の『奨学金の会News』No.9 によるものです。

 有識者会議では返還者の負担軽減という立場から、「返還免除制度の学部学生への拡大」やイギリスやオーストラリアで採用されている「所得連動型返還制度の導入(=年収が一定以上になったら返還する)」などの意見も出されましたが、それらは紹介されただけで、会議の中心的課題は、融資審査の厳格化や延滞率の高い大学名の公開、米国における債権回収方式の採用などでした。その内容は、回収のためにはなりふり構わない消費者金融並みのやりかたです。「個人信用機関の活用」は、つまり“滞納したらブラックリストに載せるぞ”と脅すことであり、「延滞する学生の多い学校名の公開」は、アメリカで行われているように、大学へのペナルティーとして延滞者の多い大学の学生には、奨学金を貸さない、あるいは採用枠を減らす措置につながるものです。もう一つ重要なのが、「初期延滞債権の民間委託」です。すでに3 年前から民間債権会社が中・長期延滞債権の回収業務を行っています。よりうまみのある初期延滞債権の回収を商売にまわし、うまくやったら回収会社に報奨金を出す制度まで考えられています。

 また、支援機構の労組の書記次長の話では、今後、民間債務回収業者による容赦のない督促と「法的措置の徹底」がビシビシ行われる危険がありそうです。支援機構のホームページによれば、「法的措置」は民事訴訟法に基づく、裁判所による「支払督促」から、「仮執行宣言付支払督促」、「強制執行」をさします。つまりは奨学金を単なる金融事業と位置づけ、一般債務として取り立てようということです。薄給の専業非常勤講師に限らず、格差と貧困が広がるなかで、2005 年度の滞納理由の1 位、2 位は「低所得」「無職・失業」が42%を占め、返したくても返せない人々がたくさんいることがわかります。「教育の機会均等」のために学費はどうあるべきか、奨学金制度はどうあるべきかは、今後じっくり議論する必要がありますが、今、行われようとしているこうした強引な「返還促進」に対して、はっきりと反対の意思表示をすべきではないでしょうか。


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