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2008年10月20日

横浜市立大学教員組合、「(案)教員評価結果の処遇への活用について」の撤回の再要求

横浜市立大学教員組合
 ∟●組合ウィークリー (2008.10.18)

「9月18日に経営審議会に提出した『(案)教員評価結果の処遇への活用について』の撤回の再要求および団交要求書」を提出しました

 すでに教員組合週報でお知らせしましたように、教員評価結果の処遇への反映は法的に教員組合との協議事項であり、そのことを当局も認めているにもかかわらず、当局案=「(案)教員評価結果の処遇への活用について」を経営審議会で審議してしまいました。この内容は、これまでの教員組合との折衝の内容をふまえたものとはなっておらず、また、折衝で話題にしていない内容が含まれており、教員組合として到底容認できるものではありません。一例をあげるならば、B評価の場合、職務業績給は1号しか上がりません。これは、基本給(年齢給)とあわせて、これまでの半額しか昇給しないことになります。言い換えれば、従来5年後に得られた給料の額に、10年たたないと到達しないのです。

 教員組合は、この文書を経営審議会で審議したことを撤回する要求書を提出したところ、8日にこれに対する回答がありましたが、撤回要求には応じていません。

 教員組合は10月16日に拡大執行委員会を開いてこの問題を検討した結果、撤回を再度要求し、教員組合との労使交渉を労働法にそくして行うことを確認するための団体交渉を要求することとなりました。以下のような要求書をまとめ、翌17日に当局に手渡しました。

2008年10月16日

公立大学法人 横浜市立大学
事務局長 田中 克子 様

横浜市立大学 教員組合
委員長 榊原 徹

9月18日に経営審議会に提出した「(案)教員評価結果の処遇への活用について」の撤回の再要求および団交要求書

 教員組合は、10月3日に、「9月18日に経営審議会に提出した『(案)教員評価結果の処遇への活用について』の撤回要求」を田中事務局長に手渡しました。8日午前、これに対して、人事当局から教員組合に回答書が示されました

 この回答書は、「教員評価結果の処遇への活用は、労働条件に関することであり、組合との協議事項であると認識しています」と述べています。しかし、他方で、「法人の経営に関する重要事項として、教員組合へ提案する基本的な考え方を9月18日の経営審議会に諮りました」と記しており、矛盾しています。

 また、経営審議会に「基本的な考え方」を諮ったと書いていますが、諮ったのは「(案)教員評価結果の処遇への活用について」であり、これは細部にわたり、具体的な運用をも規定していて、とうてい「基本的な考え方」とは言えないものです。また、前回の撤回要求書で指摘したとおり、それ以前の折衝において話し合われてこなかったもの、教員組合として明確に反対してきた重大事項を数多く含んでいます。

 教員組合が合意していない事項を経営審議会にかけること自体が、「組合との協議事項であると認識」していることに反するものです。これは、誠実交渉義務に反し不当労働行為にあたると言わざるを得ません。

 教員組合は、経営審議会に提出した「(案)教員評価結果の処遇への活用について」を、当局が撤回することを再度要求します。

 また、労使交渉をめぐる手続きに関して、団体交渉で確認・協議することを求めます。

 ところが、上記の要求書を渡したその日の夕方、教員評価委員会事務局(担当者は人事課の企画係)からメールで各教員に、「教員評価結果を平成21年度から処遇へ活用することに伴い、理事長・学長メッセージと本法人の処遇活用に対する具体的な考え方を、別添のとおりお送りいたします。」とのメールが送信されてきました。添付ファイルの「(案)教員評価結果の処遇への活用について」は、まさに経営審議会に提出された「(案)教員評価結果の処遇への活用について」と同一文書です。教員組合が撤回を要求している文書を、各教員に送信するというのは、教員組合を無視する行為といわざるをえません。

 教員組合が撤回要求をしているのは、教員評価結果の処遇への反映自体を阻止しようという意図ではありません。問題はもっと根本的なものです。すなわち、労働法上、組合との団体交渉の対象となっている事項について、合意形成に向けて協議中に、当局の案を経営審議会にかけて、「基本は決まったからこれに従え」ということは認められないということです。今回の当局の措置を認めてしまうと、これが前例になり、今後、他の事項についても当局がこのように勝手に「経営審議会で決めた」と主張するようになるでしょう。これは労働者の団体交渉の権利をないがしろにするものです。


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