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2008年10月22日

政治家は議席を世襲、母子家庭は貧困を世襲 許すな! 高校・大学の授業料免除、遺族年金の支給延長など要求

■「意見広告の会」ニュース456より

政治家は議席を世襲、母子家庭は貧困を世襲 許すな!
高校・大学の授業料免除、遺族年金の支給延長など要求

あしなが育英会

5日(日) 全国から300人の遺児母子が訴え 第20回遺児と母親の全国大会を開催

*「あしなが育英会」のパンフレットより

 10月5日、東京で「遺児と母親の全国大会」が行われました。自民党・民主党をはじめ主な正当から代表者が主席。全国から集まった遺児とその母親ら約300人が、就職難や貧困の苦しみ、子どもに教育だけはという思いを訴えました。
 ドイツやフランス並みの大学までの授業料免除や遺族年金、児童扶養手当の期間延長など5項目の要望を提出しました。

第20回遺児と母親の全国大会 =遺児母子300人が各党代表に直訴=
・日時 10月5日(日)11時~13時
・場所 星陵会館ホール 千代田区永田町2-16-2
・各党代表 自民党=中川雅治・参院文教科学委員長、民主党=野田佳彦・広報委員長、公明党=高木美智代・女性委員会副委員長、共産党=吉川春子・前参議院議員、社民党=日森文尋・国会対策委員長、国民新党=齋藤豊・事務局長
・プログラム 大会会長あいさつ、遺児代表・母親代表の訴え、要望案採択、各党代表の回答など
・要望項目 以下のとおり

第20回遺児と母親の全国大会

大会会長  青 山 睦 紀

(広島大3年・あしなが育英会大学奨学生)

 私は、高校1年生のときに父を亡くし、深い悲しみと貧しさに襲われながらも、あしなが育英会や周りの人たちのおかげで大学に進学することができました。自分と同じように苦しんでいる日本や世界中の遺児の力になりたいと思い活動してきました。昨年1年間は、2004年の大津波の被害が大きかったインドネシア・バンダアチェで研修を行ってきました。被災地の貧しい生活を見て「日本は恵まれている」そう思って帰ってきた私は、今年の2月に行われた遺児母子家庭の緊急調査結果を見て衝撃を受けました。
 豊かだと信じていた日本で、物価高騰により8割もの人の生活が苦しくなり、必死で働いても子どもを学校に行かせられず、自分の無力さに、「毎日死ぬことばかり考えている」という声。

 私が家庭訪問したお母さんは、自殺で夫を亡くし、仕事のストレスで白髪になり、うつ病になり、それでも子どものために必死で働いていました。アンケート以上に悲惨な現実を目の当たりにしました。

 夏に行われた遺児の「つどい」では代表として、日本中の遺児大学生・高校生たちに「たとえ親がいなくてお金がなくても夢をあきらめないでほしい」と伝え、彼らは「将来の夢に向けて頑張る」と口々に語ってくれました。しかし、実際にはつどいに来た高校生の7割が進学を諦めていました。「このままでは遺児母子家庭がずっと貧困から抜け出せなくなってしまう。痛みを知っている私たちが訴えなければ…」。居ても立ってもいられず、今回の緊急調査を行いました。同時に全国の遺児学生に呼びかけ、のべ600人で200の遺児母子家庭に訪問調査をおこない、お母さんの生の声を聞いてきました。

 9月1日。福田首相が突然退陣。解散総選挙が行われる見込みとなり、「今訴えなければ遺児母子家庭は永遠に見捨てられてしまう」と全国の遺児学生とともに政治に訴えることを決断しました。

この現実に目を向けてください。

要 望 項 目

<要望1> 次世代への貧困の連鎖を断ち切ってください。そのための本格的な取組を切望します。子どもの教育や就労を支援する施策を統一的、一元的に推進するため、行政組織の再編、例えばイギリスの「子ども・学校・家庭省」のような体制の整備と、関連予算の大幅な拡充を求めます。
 また、遺児母子家庭の相談窓口となる「教育・就労・福祉テラス」のようなワン・ストップ・サービスの仕組みを全国津々浦々に整備してください。

<要望2> 教育の機会均等が保障されるよう、遺児母子家庭など貧困世帯の子どもへの高校奨学金制度を充実してください。

 日本学生支援機構の高校奨学金制度は、平成17年度高校入学生を対象とする事業から都道府県に移管され、その運用は各自治体に任されるようになりました。そのため、都道府県によって貸与金額、採用人数、採用条件などが異なるという事態が生じています。政府は、全国の高校奨学金制度の実態を調査し、教育の機会均等を保障するはずの奨学金の機能が弱体化するのを防止してください。

(1) 都道府県の高校奨学金制度については、平成16年度以前の日本育英会の奨学金規程と同程度の基準により、全国統一の運用にしてください。
(2) 父母の連帯保証人に加えて別生計の保証人を要求する制度(群馬、新潟、静岡など多数)を改め、連帯保証人だけで貸与等ができるようにしてください。
(3) あしなが育英会など民間の奨学金との併用を認めない運用(青森、東京、岡山など多数)が見られますが、その制約を撤廃してください。
(4) 採用に当たり高い学力水準を要求する運用(北海道、静岡、佐賀など多数)が見られますが、生活保護基準以下の世帯の生徒には、学力を問わず、全員を採用してください。

<要望3> 生活保護基準以下の遺児母子世帯など貧困世帯の子どもに係る高校、大学の授業料等について、公的支援を強化してください。

(1) 高校・大学の授業料は、全額免除してください。
(2) 高校卒業時、大学などへの進学のための一時金(進学支度金)制度を公的資金で新設してください。

<要望4> 母子家庭世帯の生計を支えている遺族年金や児童扶養手当について、現行制度では、高校卒業時(18歳到達後の年度末)で支給が打ち切られてしまいます。遺族年金や児童扶養手当の支給期間を大学や専門学校卒業時まで延長してください。

<要望5> 国、都道府県及び市町村(東京都23区を含む)は、その職員の1パーセントを遺児などの母子家庭の母親から採用してください。遺児母子家庭の母を行政サービスの対象としてではなく、地域における福祉行政の担い手として活用してください。国は、こうした「1パーセント・ルール」の普及と定着のために、率先して尽力してください。


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