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2008年10月22日

横浜市立大学教員組合、昇任人事に関する声明

大学改革日誌
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昇任人事に関する教員組合の声明

横浜市立大学教員組合
委員長 榊原 徹

 現在、本学では昇任人事に関する手続きが進められています。教員組合は、これに関して大きな問題があると考えますので、以下の点を要求して緊急に声明を発します。

任期制への同意を昇任の要件としないこと
 教授、准教授等の資格要件は、大学設置基準(文部科学省令)に基づかなければならない。同基準では、要件は研究業績と教育能力となっている。この点からも、任期制への同意を要件とすることはまったく不当である。付言すれば、コース長などの管理職経験を要件に含めることも不当である。

 期間の定めのない労働者に有期雇用契約への転換を強制することは許されない。任期制に同意しなければ昇進させないとして、有期雇用契約の締結を強制することは不当である。

 任期制は大学のために有害である。任期制は,本学の教職員の帰属意識を強めず、むしろ他の大学への転出願望を育てる。そのために優秀な教職員が本学から去っていく状況が続いている。また、すでに期間の定めのない職を得ている他大学の教職員に対しては、本学への応募を躊躇させる。

 任期制への同意を昇任の要件とすること、そして任期制そのものについて、これまで、教員組合は繰り返し反対の主張を行ってきた。すでに述べてきたが,その問題点・不当性は上記に止まらない。

昇任の人数を制限しないこと
 当局は、法人化に際して教授・助教授の人数枠を廃して、資格要件を満たす教員は人数に制限なく昇任させると説明した。そのうえで、法人化以前からの本学教員に対し、任期制への同意を呼びかけた。昇任に関し人数制限を行うのであれば、任期制に同意した教員に任期制の応諾の撤回を認めること。 

 また、助手、助教、准教授は任期更新の回数に制限がある。その回数に達した教員にとっては,昇任がみとめられなければ自動的に雇い止めとなる。したがって、要件を満たす教員については全員昇任を認めること。昇任を認めないのであれば、更新回数の制限を撤廃せよ。

昇任人事の申告締切を遅らせること
 昇任人事に関する書式が人事課から示されたのは10月中旬であるのに、書類の提出期限がその約10日後である。3種類の書類を整えて自薦または他薦の推薦を行うには,10日間という期間はあまりに短すぎる。

昇任審査を教授会の権限に戻すこと
 研究内容やそれに基づく教育について理解するのは、それらのことがらについて深い知識と豊富な経験を有する者でなければ到底不可能である。そこで、ほとんどの大学では、教授会(あるいはそれに近い教員の自治的集団)により教員の採用・昇任審査が行われている。伝統的な大学、著名な大学ほど教授会による人事が確立している。本学のように教授会に人事権,カリキュラム編成権のない大学は、重大な欠陥を抱えていると言え,その結果としても衰退していく危険性が大きい。

 以上


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