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2008年10月29日

フリーター労組、声明 不当逮捕への抗議と62億円の豪邸の持ち主への要求

レイバーネット
 ∟●フリーター労組が声明:不当逮捕への抗議と62億円の豪邸の持ち主への要求

声明 不当逮捕への抗議と62億円の豪邸の持ち主への要求

フリーター全般労働組合は、10月26日、渋谷で、反戦と抵抗の祭〈フェスタ〉2008のプレ企画であるイベント、麻生太郎邸拝見「リアリティ・ツアー」に麻生太郎首相への団体交渉申し入れ書を携えて参加しました。

 この「ツアー」、社会の「貧困」「格差」を解決すべき人物が、私たちとどれだけかけ離れた暮らしをしているのかをこの目で見て実感する、誰もが歩くことができる公道を、渋谷駅頭から麻生邸の前まで歩きながら、その土地だけで62億ともいわれる豪邸をくっきり目に焼き付けて帰る、という趣旨のものでした。

 フリーター全般労働組合が麻生首相に団体交渉の申し入れをしたのは、私たちが日々取り組んでいる不安定雇用で働く人たちや失業者の労働や生活の問題が、個別企業を相手にするだけではらちがあかず、格差と貧困を放置し拡大させた国にものを言わないと解決しないと考えたからです。

 私たちは、日々、アルバイトをクビになって生活が立ちゆかなくなった、有期雇用で雇い止めされた、残業代が支払われない、社会保険に加入させてもらえない、仕事中にケガをしても自費での治療を強要された、偽装請負や多重派遣で働かされ、複数の会社から給料のピンハネをされている――といった相談を受けては、睡眠時間を削り自分の稼ぎを減らしながら懸命に会社との交渉に走り回っています。それでも不安定雇用で働く人の相談は途絶えることがありません。

 日雇い派遣の問題も、違法を繰り返した最大手の2社は廃業することになりましたが、管轄する厚生労働省は、長く違法状態を放置し、廃業により仕事や住居を失った日雇い派遣労働者に有効な手をさしのべることはありませんでした。そもそも日雇い派遣がこれだけ拡大したのは、派遣法の規制緩和を繰り返し、派遣可能業務を原則自由化したために、直接雇用のアルバイト、日雇い仕事の雇用が侵食されたからです。

 一方で、小泉、福田首相に引き続き、麻生首相は、インド洋での給油活動を含む「対テロ戦争」に莫大な税金を投入しながら、世界規模で人が生きる基盤を壊しています。政権与党は、税制を大企業や高所得者に有利なように変え続けてきました。

 金持ちが優遇され、それ以外の人たちの生活がどんどん不安定にさせられるなかで、格差社会の頂上にいて、莫大な資産を持ち、私たちとかけ離れた「金銭感覚」を持つ麻生首相に、直接、私たちの置かれている格差と貧困の問題を説明し、政策の変更を訴えよう。私たちはそう考えながら、渋谷駅から麻生邸に向けて歩道をゆっくり移動していました。拡声器も使わず、隣の参加者と肉声で談笑しながら。参加者はおよそ50人ほどでした。

 午後3時、渋谷駅ハチ公前に集まった50人の前にあらわれた渋谷警察署警備課は、麻生邸の規制区域に近づいたら「5名ずつならば通す」旨を向こうから連絡してきました。私たちはそれを踏まえた上で平穏に歩いていました。そして、その直後のことです。道玄坂下に私たちがさしかかろうとしていた瞬間、警視庁公安部及び渋谷警察署警備課は、突如参加者の中へ突入し、3人の仲間を無理矢理羽交い締めにし、路上に組み伏せ、連れ去っていきました。

 逮捕された3名には、公安条例違反や公務執行妨害といった「罪状」がならべられていますが、昨夜からすでに一部流されている報道は、警察による虚偽の情報にもとづいたものです。まず、警察はこの移動を「デモ行進」であるとは一度も宣言していませんし、中止の勧告=「再三の警告」もありませんでした。そしてもちろん、参加者が「警察官を殴るなどした」「暴行を加えた」などという事実もいっさいありません。これらは、現場で撮影されている複数のビデオ映像からも明らかです。

 私たちは、道理に対しここまでの非道理を重ね、仲間を逮捕し拘禁し、事実を完全にねじ曲げた虚偽宣伝を行う警察に、厳然と抗議し、3人の仲間をすぐに返すことを要求します。 そして、このような無法警備に守られている62億円の豪邸の持ち主が、私たちの問題にきっちりと応えることを要求します。

2008年10月27日

フリーター全般労働組合執行委員会


[新聞報道]
麻生首相宅見学ツアー:フリーター労組ら「暴行しておらず不法逮捕」と会見 /東京

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