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2008年11月17日

全国大学院生協議会、大学院生の経済実態に関するアンケート調査報告書

全国大学院生協議会
 ∟●2008 年度大学院生の経済実態に関するアンケート調査報告書

2008 年度
大学院生の経済実態に関するアンケート調査報告書

は じ め に

 本報告書は、全国大学院生協議会(以下、全院協)が、2008 年に実施した「2008 年度大学院生の経済実態に関するアンケート調査」についてまとめたものです。
 全院協に対しては、従来から「学費の工面が大変」、「多額の奨学金ローンを返済できるか不安」、「アルバイトに追われ、研究や論文執筆の時間がとれない」、「就職の見通しが立たない」といった切実な声が全国から寄せられていました。今年度の調査結果からも、今日の大学院生がいかに過酷な状況に置かれているかを見てとることができます。
 とりわけ国公立大学の独立行政法人化以降、大学院生の研究生活はますます悪化しています。第一に学費の高騰及び学費免除枠の漸減、第二に研究諸条件の低下、第三に学生支援機構奨学金返還免除規定の改変、第四に若手研究職ポストの削減や不安定雇用の常態化などといった新たな経済的諸問題が生じており、今日の大学院生は従来に比して不安定な地位を余儀なくされています。こうした状況は、わが国の高等教育財政の貧困さから生み出されたものです。
 このような中で、大学院生の間には、授業料の無償化や給付制奨学金の創設、研究諸条件の向上を求める強い要求がでています。これら大学院生一人ひとりの要求を汲み取り、大学院生総体の要求として社会および国に訴えていくことが必要です。今日的状況において、大学院生のナショナル・センターであり、大学院生総体の要求を代弁することができる唯一の組織である全院協の果たすべき社会的役割は、よりいっそう重要性を増しているといえるでしょう。
 全院協では、今日の大学院生の切実な要求にもとづいて、今年度は以下の項目を文部科学省および財務省さらには各政党に要請していきます。

1. 学費の段階的無償化を追求し、国公私立大学大学院の学費減額及び学費免除制度につながる十分な予算措置を求めます。
2. 国立大学運営費交付金および私学助成のマイナスシーリングをやめ、国立大学運営費交付金および私学助成の基盤的経費部分を大幅に増加することを求めます。
3. 大学院生の研究環境および経済的支援向上のための必要な措置を求めます。
4. 無利子奨学金の採用枠の拡大、返還免除枠の拡大、給付制奨学金制度の創設につながる奨学金事業の予算拡大を求めます。
5. 大学院生の就職実態を調査し、就職率が向上するよう必要な措置をとることを求めます。大学院生の生活・研究条件およびその地位と権利の向上を求める全院協運動の意義はますます大きくなっています。私たちは、今日の大学院生が抱えている諸課題の解決、そしてひいてはわが国における学術研究の発展のために、この調査結果が広く活用されることを願ってやみません。

最後に、本調査にご協力くださった方々には心より感謝申し上げます。

2008年11 月11 日
全国大学院生協議会

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