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2008年12月02日

千葉大学ユニオン、勤勉手当の成績率って何だろう?

千葉大学ユニオン
 ∟●ユニオンニュースNo.43

勤勉手当の成績率って何だろう?
-新昇給制度の詳細! 第2弾-

 ここ数年、公務員の給与体系は大きく変化してきています。全体的に抑制されていることはもちろんですが、最近の給与表をみると二つの特徴を見いだすことができます。第1 に給与表の各級間の格差拡大が見られ、第2に、同一級でも若い号俸の昇給幅が大きく、逆に同一級に長くとどまるほど昇給幅が小さくなっていきます。つまり上級ポストが多く存在する中央省庁や昇格の早い一部の職員には相対的に有利な仕組みになってきています。また地域間の格差も大きくなっており、地方大学などでは給与上昇がより難しくなってきています。

 もともと期末手当等についても給与表の上位ほど加速度的に増額される仕組みが組み込まれていましたが、この傾向が近年さらに強まってきているのです。このように出先機関や地方の独法に対してより厳しい給与改革を行う一方で、近い将来には中央省庁に本府省手当が新設されることが決定しており、また中央から地方への配置転換などには広域異動手当が加算される仕組みがすでに導入されています。要するに、全体的に賃金率を引き下げつつも、中央省庁や一部の職員を相対的に優遇し、職員間の格差をいっそう拡大するという改革が進行しているのです。

 このような給与制度改革は多くの職員の士気を阻喪させるものですが、それに加えて競争的選別的な一時金・昇給制度を積極的に活用し、成績優秀者と標準的なものとの格差を拡大させていくことが人事院勧告に盛られてきました。まもなく支給される期末手当の勤勉手当部分についても、(A)勤務成績が特に優秀な職員、(B)勤務成績が優秀な職員、(C)勤務成績が良好な職員(標準)、(D)勤務成績が良好でない職員の4 段階に分けて、成績率が考慮される仕組みになっています。この勤務成績評価による手当支給額の格差が大きくなるように誘導されてきています。人事院勧告に基づく、一般職員の勤勉手当の成績率による増額部分はA 区分の「特に優秀な職員」の場合で算定基礎となる給与額の0.21~0.78 ヶ月分、B 区分の「優秀な職員」の場合で0.105~0.21 ヶ月分です。役職員ではさらに加算率が大きくなっています。

 千葉大学でも基本的にこの範囲内で決定できる制度となっていますが、概ね各々0.21 ヶ月、0.105 ヶ月分となっており、このような手当を増額される職員の割合は千葉大学の場合、A 区分が10%、B 区分が30%となっています。これは国立大学法人としては標準的なものだと思われますが、他大学では外部資金の間接経費をファンドの一部に充当するとか、増額される職員の割合を変更するような独自の動きも見られます。我々も賃金・手当の不公平感をこれ以上拡大しないように、大学方針について注視していく必要があるでしょう。

 そもそも組織の活力はチームプレーによって生み出されるのです。全体に賃金アップを抑制し、労働意欲を減退させ職場の雰囲気を沈滞させてしまい、それをカバーするために昇給や手当などで差をつけ構成員を競争に駆り立て、尻をたたき続ける安直な労務管理のあり方には疑問が残ります。このような方向の「給与制度改革」で、はたして我々の職場に真の活力が生まれるのでしょうか?


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