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2009年01月14日

関西私大助成シンポジウム、2008共同アピール

滋地区私立大学教職員組合連合
 ∟●関西私大助成シンポジウム2008共同アピール

関西私大助成シンポジウム2008共同アピール

 現在、わが国の高等教育において、学生数および学校数ともに私立大学・短期大学の占める割合は非常に高く、社会的にも大きな役割を果たしています。
しかし、私立大学への国からの補助金である「経常費補助」率は、1980年の29.5%をピークに減少し続けています。大学数は80年当時と比較して増加しているにもかかわらず、現在の「経常費補助」率は11%程度の水準にとどまっています。しかも私立大学の経常費補助は、昨年・一昨年で合計60億円余りが減額されている中で、来年度予算でも「1%削減」の方針が打ち出されています。
OECD(経済協力開発機構)の最新の調査でも、日本の公財政における教育費支出の状況は、対GDP比でみたとき、OECD平均が5%であるのに対して日本は3.4%にとどまっており、1998年の調査開始以来最低の水準になっています。しかも、高等教育段階における家計負担の割合は、53.4%で、OECD加盟国のなかで一番高い状況となっています。
こうした状況は、学費の高騰を生み出す大きな要因となっています。特に、昨今学費負担の重さを理由に進学を断念したり、大学を中退する学生が急増している中で、高学費問題の解決は、わが国の高等教育において早急に解決すべき喫緊の課題となっています。
 そもそも教育を受ける権利は、日本国憲法や世界人権宣言、国際人権規約など、国際的な諸条約にも明記されているように、人類普遍の人権であり、高等教育は全ての人に開放されるべきという考え方が国際的な常識になっています。
日本国憲法の第26条で、「すべての国民は…ひとしく教育を受ける権利」をもつと規定されていることを踏まえて、その改定をめぐって賛否両論あった新しい教育基本法にも「経済的地位」を含め、あらゆる「教育上の差別」を禁じることが明文化されています。
 国連の国際人権規約(A規約・社会権規約)の条文にも、「教育についてのすべての権利」と「教育が人格の完成及び人格の尊厳についての意識の十分な発達を指向」すべきことが明記されています。さらに、この「権利の完全な実現」のために、初等教育はもとより中等高等教育にも「無償教育の漸進的導入」と「適当な奨学金制度の設立」などが規定されています。
このことは、ユネスコの「高等教育の教育職員の地位に関する勧告」(97年)や「21世紀に向けての高等教育世界宣言-展望と行動-」(98年)にも同様の内容が確認されており、経済的地位等にかかわらず「高等教育をすべての者に等しく開放すること」(教育の差別禁止条約)は、20世紀から21世紀の国際社会に引き継がれた政策的な基調となっているのです。
しかしながら、日本政府は国際人権規約を批准したものの、「高等教育の漸進的無償化」条項は「日本の国情に合わない」として留保を付して以後、一貫して消極的な姿勢をとり続けています。そうした日本政府の姿勢が、現在の高等教育における学費高騰を生み出す大きな原因となっていることは明白です。
国連社会権規約委員会は、2001年に日本政府に対し、留保の撤回検討を強く求める勧告をおこなうとともに、検討結果の報告書の提出を求めてきましたが、提出期限を過ぎた今も未回答のままとなっています。
 今、本当に必要なことは、国際的にも孤立した考え方をとり続ける日本政府の高等教育政策を転換し、真に国際的水準に見合った大学・高等教育政策をおこなうことです。そのためには、高等教育予算の抜本的増額と私立大学の経常費二分の一補助の完全実施とともに、国際人権規約の「高等教育の漸進的無償化」条項の留保撤回を強く求めるものです。
私たちは、教育・研究活動を通じた社会的な貢献と学生の学びと成長を保障するためにいっそう尽力するとともに、学生・保護者の経済的負担の軽減に向けて努力するものです。
そして、大学の社会的な使命を自覚し、大学間の共同と連帯を強める中で、社会に支持される魅力ある大学づくりを学生・保護者・市民とともに力を合わせて進める決意です。

2008年12月13日(土)

国庫助成に関する私立大学教授会関西中四国連絡協議会
国庫助成をすすめる全国私立大学中央連絡会近畿ブロック
京滋地区私立大学学長懇談会


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