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2009年01月26日

全大教、国立大学の学長選考問題に関する声明

■「意見広告の会」ニュース463より

国立大学の学長選考問題に関する声明

全国大学高専教職員組合中央執行委員会 1/20

 この間いくつかの大学で、教職員による意向投票結果に反する学長選考が学長選考会議によって行われている。
 学長選考に関わる問題は、基本的に大学自治の枠組みの中で解決すべき事項である。しかし、今回の富山大学の学長選考問題はこれまでに例をみない事例であり、その全国的影響を考慮すれば、全国組織として黙過しえない問題であり、ここに声明を発表するものである。
 富山大学第2次意向投票で58%を獲得した第1位者に対し、現職学長として立候補した第3位者は20.5%であったが、学長選考会議は第3位者を学長として選出した。現職学長のこの間の大学運営について実に8割近い意向投票者が信任の意思を表明しなかったという事実は重い。また、意向投票第1位者が約6割の支持を得ながら選考されないという事例も過去に例をみない。
 これらの経緯は、大学の自治のあり方に重大な問題を提起している。大学は、多様な価値観を共有する研究教育組織であり、構成員の意思の尊重と合意形成が何よりも重要となる。それ故、学長選考は、法人化以降も意向投票という形で継続されているのである。これを無視したと言うほかない今回の学長選考は、今後の大学運営に重大な支障と禍根をもたらすことは必至であろう。それは何よりも富山大学にとって重大な損失をもたらすこととなる。学長選考の再考を促したい。
 このことと合わせて、現在の学長選考制度のもつ問題性を指摘したい。学長は、教育研究評議会と経営協議会の双方から同数の委員で構成される学長選考会議の選考により選出されるが、その他に学長は、学長又は理事を学長選考会議委員総数の3分の1を越えない範囲で選考会議に加えることができる。(国立大学法人法第12条に規定) 従って、特に現職学長が立候補する場合、学長が指名した委員が過半数を占めることで極めて有利となり、大学構成員の意志を無視した選考が生じるのであり、大学によっては、選考結果をめぐって訴訟に持ち込まれる場合もあった。法人法はこうしたチェックアンドバランスの仕組みが働かない欠陥をもっている。
 この間の一連の学長選考をめぐるトラブルは、学長選考のあり方を見直す必要性を示している。私たちは、各大学における学長選考内規の再検討や、さらには、国立大学法人法の改正も含めた法人制度の見直しが必要であると考える。


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