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2009年03月23日

高知大公正な学長選考を求める裁判を支える会、第一回口頭弁論が4月10日高知地裁で開催

■「意見広告の会」ニュース471より

公正な学長選考を求める裁判を支える会
ニュースレターNO.11 2009、3,15

公正な学長選考を求める裁判を支える会
事務局:高知県高知市曙町2-5-1高知大学教職員組合内
(TEL/FAX088-844-1489)

○いよいよ第一回口頭弁論が4月10日高知地裁で開かれます

 前回のニュースレターNo10 において、行政訴訟の裁判地に関して高松高裁が、国側の「裁判を東京地裁か高松地裁に移せ」という主張を全面的に退け、当初高知地裁が決定した通り高知地裁で裁判を行うよう命じたということをご報告しました。その際、国側の特別抗告の可能性がまだ残されているということも併せてご報告いたしましたが、国は特別抗告を行わず、高松高裁の決定が確定し、高知地裁で裁判が行われることになりました。

 以下、国側主張、原告側主張、裁判所による判断を一覧表にして示します。争点は国立大学法人が行政事件訴訟法にいう「事案の処理に当たった下級行政機関」と見なしうるかどうかという問題でした。

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【国側主張】
 1)高知大学は「事案の処理に当たった下級行政機関」には当たらない。
 2)国による学長任命手続きは「法人の申し出」から「発令」までである。

 3)原告らには「原告適格」がないので現場検証などの必要性はなく、高知で行う理由はない。

【原告側(私たち)主張】
 1)高知大学は「事案の処理そのものに実質的に関与した下級行政機関」に当たる。
 2)高知大学は、学長任命の事案の処理そのものに実質的に関与している。

【裁判所の判断】
 1)国立大学法人は「国の一定の指揮監督の下に国の『行政』の一翼を担う法主体」であり、「下級行政機関」と見なしうる。
 2)高知大学における学長選考は、国による任命手続きの一環である。
 3)「原告適格」の有無と裁判地は無関係である
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 以上のように、原告側(私たち)の主張が認められ、裁判は高知地裁で行われることになりました。ここでの対立は一見すると些末な法律解釈の問題のようですが、上の表の二つ目の論点を見ていただくと、そうではないことがわかります。すなわち、国側の主張では、裁判の対象となる学長任命手続きとは「申し出から発令」までのプロセスだけということになりますから、もしこれが認められれば、高知大学での不透明な学長選考過程は裁判で取り上げるのが極めて難しくなっただろうということが予想できます。しかし、今回裁判所が高知大学における学長選考は任命手続きの一環と認めた(判例となった)ことで、まさに私たちがこれまで問題にしてきた「不透明な学長選考」を裁判のなかで正面から取り上げる展望が開けたのです。
 
 そして、それを受けて、いよいよ第一回口頭弁論が4月10日午後3時から高知地裁で開催されることが決定しました。
 満を持してこの日を迎えたいと思います。

○相良体制のこの一年はどのようなものだったのでしょうか?

 時間の経つのは早いもので、民事訴訟の提訴(2007年12月26日)からすでに1年以上が経過しています。行政訴訟の提訴(2008年6月24日)から数えても8ケ月経ってやっと裁判の入り口が見えてきた状態です。通常このような展開になると、人々の意識も風化し、「まだ裁判やっているんですか」というような意見が出てくるものです。ところが本学の場合、事情はかなり異なっているようです。
 
 むしろ、以前よりももっと多くの学内関係者が裁判の帰趨に注目しているのを感じます。それらの人々の共通認識は「早く今の執行部にお引取りいただかないと高知大学に未来はない」というものです。昨年4月の発足以来の現執行部の無策については枚挙に暇ありませんが、重大な3点だけをここに挙げます。
 
 1 現執行部は、大学院を一元化し、それと同時に教員組織と教育組織の分離を強行しました。しかし、当初から危惧された通り、運営にあたっては無理を重ねざるをえず、構想の破綻は誰の目にも明らかになっています。それにもかかわらず、執行部の目にはそれは全く映っていないばかりか,さらに無用の組織いじりを進めるようです。
 
 2 執行部は大学評価・学位授与機構による評価について、一般的な危機意識をしきりに煽っています(「道州制で統合されるぞ云々」)。しかし、『ニュースレターNo9』でも明らかにしたとおり、今回の評価には執行部が作成した報告書や訪問調査時の対応のまずさなどが極めて重大な影響を及ぼしている可能性があり、まずその点について検証・総括し,説明責任をきちんと果たすことが先決であるはずです。しかし、執行部の人々にはこれも理解できないようです。
 
 3 執行部の最も重要な仕事は、上記2の総括をもとに次期中期目標・計画を策定することであるはずです。ところが、この問題についても、各学部にまる投げしたままです。最も重要なポイントである「大学の機能別分化論」における「本学の立ち位置」についてすら、まだ一行の文章も公にしてはいません。

 私たちは、執行部を構成する個々の人々の個人攻撃をするつもりはありません(個人としては面白い人たちもふくまれていますから)。しかし、正統性のない学長に任命された執行部はこうならざるを得ないと考えています。その意味で、相良体制のこの一年の漂流ぶりをみれば,私たちの運動の正しさに対する確信はさらに深まるのではないでしょうか。このような事態に終止符を打つためにも、裁判を中心とした私たちの運動を大きく前進させる必要があると思います。


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