研究者の地位と権利を守るための全国的ネットワークをつくろう!

2009年03月30日

「立命館」白紙 強引すぎた市長の責任

http://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2009032802000040.html

 市立岐阜商高を廃止して立命館の中高一貫校を、という岐阜市の誘致計画は、市議会からの二度目のノーで白紙となった。ずさんな計画で説得力も欠いたまま、強引に進めた市長の責任は重い。

 細江茂光市長は、二〇〇九年度一般会計予算案に約百万円の誘致関連費を盛り込んでいた。しかし、反対派の議員らが誘致関連費を削除する修正案を提案し、市議会の本会議で、わずか一票差ながら可決された。

 昨年十二月に誘致を求める請願を不採択などとしたのに続き、市民の代表である市議会の重ねての否認は重い。現在の市岐商の敷地に一〇年度開校を目指し「年度内に結論を」としてきた立命館も、計画断念を発表した。

 細江市長が市民や市議会を納得させられなかった要因は、説得力のなさと計画のずさんさにある。

 野球部が甲子園で活躍するなど地元に密着した市岐商をなぜ廃校にするのか。少子化による普通科志向や校舎の老朽化を理由に挙げたが、十八万人もの存続署名が集まったことは、そんな理由では多くの人々が納得していないことを物語っている。

 なぜ立命館かの理由もあいまいだった。有名私学の誘致で若い世帯が流入し企業も進出するとしたり「二十億円の経済波及効果がある」と説明したりした。教育政策なのに、経済効果を口にする細江市長の説明には違和感があった。

 公立高の廃止は県教育委員会、私立高の新設には県の認可がそれぞれ必要だ。各校のクラス編成や地域の定員配置に均衡をとるため、岐阜県内の高校の公立と私立の定員比は八対二と決められてきた。当然調整が必要なのに、開校まで一年に迫った今でも県に話を持ち掛けていなかった。

 市岐商の土地は無償貸与し、建物は無償譲渡する計画だが、このうち体育館建設などの際の市債残高が約四億三千万円あり、譲渡後も市が払わねばならないなど、市民が納得できぬ事実が次々と判明したことも、計画の詰めの甘さといえよう。

 市議会の反対に「市民の信を問う」と突然辞職して出直し市長選を強行するなど、計画に固執し続けた細江市長はどう責任をとるのか。学びやがどうなるのか十分な説明もないまま、市岐商の在校生らも振り回された。

 市長が本当に「教育立市」を目指すなら、子供や保護者らの気持ちを置き去りにした教育政策は、もう繰り返さぬことだ。


[関連ニュース]
立命館誘致を断念 岐阜市長と総長表明
市岐阜商存続へ 生徒「うれしい」
岐阜市、立命館誘致を断念へ 市議会が修正予算案を可決
立命館誘致、困難に 岐阜市議会、事務費削減案を可決
岐阜市議会一票差の最終結論 白紙撤回、立命館・市岐商
市立岐阜商:立命館が移管撤回…市議会の反対決議受け
移管白紙 「よかった」「残念だ」 市民ら思いそれぞれ /岐阜
立命館総長「議決重い」 東海進出は白紙に
岐阜市、立命館誘致を断念 修正予算案可決

|